フィンランド発祥のスポーツ 「ホビーホース」に夢中 中野の小学6年

2020年11月11日 07時04分

自宅で自作のホビーホースを披露する小芝菜桜子さん=いずれも中野区で

 馬の頭の飾りが付いた棒にまたがり、馬の足運びを再現したり、障害物を跳び越えたりするフィンランド発祥のスポーツ「ホビーホース」。日本ではほとんど知名度がないこのスポーツに、中野区の小学6年小芝菜桜子(なをこ)さん(11)は夢中になっている。「いつかフィンランドの子どもたちと大会を開きたい」。そんな夢を思い描いている。
 「かけ足、すすめー」。小芝さんの号令に合わせて、ホビーホース部の部員たちが走り出す。ここは馬事公苑ではなく、学校の1室。足運びはリズミカルで、本当に馬に乗っているかのようだ。円を描きながら走る時はホビーホースの頭を内側に傾けながら、走る。実際の馬術でも馬にコースを認識させるための技術だ。
 1頭1頭には名前と性格が設定されていて、走った後には「お疲れさま」と声をかける。「本物の馬と同じように大切に扱うからこそ、実際に乗馬している感覚になれる」と小芝さん。
 幼いころから動物好きの小芝さんは1年生の時、学校の乗馬体験で初めて馬と触れ合った。大人が乗っても水たまりで立ち止まってしまう馬を見て、馬と心を通わせる乗馬に興味を持った。4年生になると、乗馬クラブにも通い出した。
 ホビーホースとの出合いは約2年前。父義親さん(48)が偶然録画したホビーホースのドキュメンタリー番組で知った。当初はあまり興味はなかったが、学校で友達と馬の歩き方をまねして遊んでいる時に「ホビーホースとそっくり。自分で馬の性格も決められるし、面白そう」と思った。
 さっそく、義親さんにインターネットで売られていたホビーホースをねだった。義親さんは「学校に部活として認めてもらったら、部員の分も買ってあげる」と提案。小芝さんはすぐに学校側に直談判し、2019年6月にホビーホース部を創部した。

部活動で「ホビーホース」の指導をする小芝菜桜子さん(左)

 最初に集まった部員は4人。約束通り義親さんに買ってもらった4頭のホビーホースにまたがり、走り回った。数日後、全校集会で部員を募集すると、さらに10人ほどが入部し、ホビーホースの輪は広がった。
 小芝さんはホビーホースの手作りにも挑戦。祖母にもらった布きれを縫い合わせて、中に綿を詰め込んだ。出来栄えに納得はできなかったが、「すごくかわいく見えた」と振り返る。

フェルトの布を縫い合わせ馬の頭部を製作中

 これまでに作った愛馬は約50頭。厩舎(きゅうしゃ)に見立てた自宅の壁一面にずらりと並んでいる。材料は100円ショップで購入し、1頭あたり600円ほどでできるという。
 1頭1頭、性格はさまざまだ。初めて作ったのはエンゼルという名のメス。プライドが高く、自分のことをかわいいと思っている。オスのコーチェラはおとなしく、優しい性格。小芝さんはこのイメージをもとにホビーホースを扱い、「指示を聞かずに、馬が反抗する時もある」と笑う。
 下級生に「本物じゃない」と言われたこともあるが、小芝さんは「好きなものを自分なりにアレンジして、自由に楽しむってすてきなこと」と胸を張る。「いい子だったね」と語りかける小芝さんと愛馬の間には、魅力的な「自分の世界」が広がっている。
 ホビーホース フィンランド外務省によると、ホビーホースは2010年ごろから世界で注目を集め始めた同国発祥のスポーツ。近年はスウェーデンやイギリスなど欧州だけでなく、アメリカやオーストラリアなどでも少しずつ知名度が向上しているという。
 フィンランド国内では、年に一度「フィンランド・ホビーホース選手権」が開催されるなど若者を中心に人気を博しており、手作りのホビーホースを画像投稿アプリで見せ合うのもブームになっているという。
 フィンランド外務省がまとめたサイト「ホーム・オブ・ホビーホース」(https://www.thehobbyhorse.fi/ja/)では、作り方なども紹介されている。
 文・西川正志 写真・芹沢純生
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