女川原発の同意 再稼働に歯止め利かなくなる恐れ <解説 小川慎一>

2020年11月12日 05時50分

宮城県の東北電力女川原発2号機=8月(共同通信社ヘリから)

 東日本大震災の発生からちょうど9年8カ月、宮城県知事が東北電力女川原発2号機の再稼働に同意した。原子力規制委員会の新規制基準「適合」からわずか9カ月で、被災した原発が再稼働の条件を整えた経緯を振り返ると、2つの重要な点を無視できない。
 1つは、政府の原発再稼働推進に歯止めが利かなくなる可能性が高まった。女川原発は津波により一部電源を失ったものの、東京電力福島第一原発のような過酷事故をぎりぎり免れた。
 傷だらけとなった原発への不安の大きさは、住民投票の実現を求める署名が11万人以上となったことが物語る。それでも、立地自治体の首長は再稼働のお墨付きを与えた。同じく津波被災した日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)や、事故当事者である東電の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)にとって、再稼働への「良い前例」とされることは避けられない。
 もう一つは「地球温暖化対策で温室効果ガスを排出しない原発が必要」という説明が、首長や議員にじわりと広がっている点だ。「2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ」を打ち出した菅政権は、原発を温暖化対策に位置付けており、これに呼応する形である。
 だが、振り返るべきだ。住む場所を奪い、広い地域を放射能で汚染した福島第一原発事故は10年たっても、収束作業の終わりが見えない。そうしたリスクをはらむ原発の選択は、将来世代への責任放棄でしかない。(小川慎一)

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