<11日に考えた>避難所に「部屋」3密回避 群馬県建設業協会 段ボール製の間仕切り

2020年11月12日 07時53分

上から見た「KAMIKABE」=前橋市で

 災害時の避難所で活用してもらおうと、前橋市の県建設業協会が六月に製品化した段ボール製の間仕切り「KAMIKABE(かみかべ)」が今夏、豪雨災害に遭った九州各地に無償提供され、実際に使われた。避難所での新型コロナウイルスの感染を防ぐ三密回避や、プライバシー確保ができる製品に注目が集まり、十月末までに全国各地では約千九百セットが売れた。(池田知之)
 かみかべは厚さ三ミリ、高さ約一・五メートルの壁となる段ボールを蛇腹状に折り、四枚を組み合わせると、二・一メートル四方の「部屋」になる。壁にはハンガーや照明も付けられる。洗練されたデザインは、東京・銀座に立つ街灯などを手掛けた建築・プロダクトデザイナーで、前橋工科大の松井淳名誉教授が担当した。
 協会の青柳剛(たけし)会長は「避難所での生活環境向上の他、使いたくなるようデザイン性も高くした」と説明。価格も「赤字にならなければいい」と一セット一万千円に抑えたという。
 かみかべが実際に使われたのは、九州など各地で集中豪雨が発生し、大規模な被害を及ぼした「七月豪雨」の避難所。協会は同月、福岡県大牟田市や熊本県水俣市など九州各地に支援物資として計百セットを無償で緊急提供した。
 このうち、熊本県芦北町では三世帯の計五〜六人が三週間ほどかみかべを利用。町の防災担当者によると、避難者にとって高さは適当で、三密でない適当な間隔も空けられた。担当者は「組み立ては町職員だと容易だったが、慣れていない一般の町民だとやや時間がかかった」と振り返る。
 同町では、住宅被害で全壊七十二件、大規模半壊百四十五件、半壊七百五十一件などの被害が発生。混乱する災害現場では、人命や財産を守るため、わずかな時間でもできるだけ浪費しない必要がある。
 青柳会長は「やはり防災には事前の訓練や備えが必要になる」と指摘。協会は有事に備え、県内の市町村や各支部、建設会社などにかみかべ計約千セットを備蓄。ほぼ全ての県内自治体で、かみかべを組み立てる訓練を実施済みだ。
 協会は県外を含む購入者ら向けに組み立て方を動画にして投稿サイト「ユーチューブ」で公開し、かみかべの普及に努めている。

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