バイデン氏は「尖閣」にも安保条約適用表明も米側発表には含まれず 菅首相と初の電話協議
2020年11月12日 21時28分
菅義偉首相は12日、米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領と初めて電話で協議した。日本政府の説明によると、バイデン氏は米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約5条を沖縄県・尖閣諸島に適用すると表明した。米側の発表では、安保条約5条には触れたが、尖閣諸島への言及は含まれていない。
◆拉致問題解決への協力要請
首相はバイデン氏に祝意を伝えた上で「日米同盟は国際社会の平和と繁栄に不可欠で、強化が必要だ」と強調。北朝鮮による日本人拉致問題解決への協力も要請し、安倍晋三前首相の外交路線を継承する姿勢を鮮明にした。
バイデン氏は「同盟を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に向けた協力を楽しみにしている」と応じた。
協議後、首相は記者団に「日米同盟強化に向けた取り組みを進めていく上で意義のある会談だった」と語った。首相は来年1月20日の大統領就任式後、早期に訪米し、バイデン氏との良好な関係構築に努めたい考えだ。
◆オバマ、トランプ政権も適用
安保条約の尖閣諸島への適用はオバマ前米大統領が2014年4月の訪日時、安倍氏との共同記者会見で明言。トランプ政権でも日本政府は、尖閣周辺で挑発を強める中国を念頭に、繰り返し適用対象であることを確認してきた。菅首相もこうした立場を継承する。
米軍普天間 飛行場(沖縄県宜野湾 市)移設に伴う名護市辺野古 での新基地建設など米軍基地問題は協議しなかった。加藤勝信官房長官は会見で「限られた時間で祝意を伝えることが主な目的だった」と説明した。(上野実輝彦)
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