経済と感染防止の両立、ワクチン開発に期待託すも… 不透明な「有効性」「安全性」

2020年11月14日 05時50分

新型コロナウイルスのワクチン開発のため接種を受けるボランティア=米フロリダ州で(ロイター・共同)

 新型コロナウイルスの新規感染者が2日連続で過去最多を更新、医師らは「第3波」到来を指摘し危機感を示している。一方、政府は緊急事態宣言の再発令には慎重な姿勢で、あくまで社会経済活動と感染防止の両立を目指している。その切り札として期待されているのがワクチンだ。ただ、現時点では有効性や安全性は分からない部分が多く、過度な期待を戒める声も上がる。(藤川大樹)

◆5~10年の開発期間が必要だが

 「来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保する」。新型コロナのワクチンを国の全額負担で接種することを柱とした予防接種法改正案が衆院本会議で審議入りした10日。菅義偉首相はそう力を込めた。
 政府は9月に予備費からワクチン購入に6714億円をあてることを閣議決定。米モデルナ、米ファイザー、英アストラゼネカの3社と、ワクチン供給を受ける契約や基本合意をした。
 ワクチン開発には5~10年の開発期間が必要とされるが、今回は急ピッチで開発が進む。先行するファイザーは国際共同治験で、90%以上の発症予防効果を確認したとの暫定的な結果を公表した。コロナ禍収束への期待は高まり、株価は大幅に上昇した。

◆11種類の候補が臨床試験の最終段階に

 世界保健機関(WHO)によると、12日時点で、ファイザーを含む11種類のワクチン候補が臨床試験の最終段階にあるが、専門家からは「安全性と有効性の両面で理想的なワクチンが開発される保証はない」と過度な期待にくぎを刺す声も上がる。
 開発が進む中には、従来の生ワクチンや不活化ワクチンと違い、ウイルスの遺伝情報を体内に注射して免疫を作る新しいタイプもあり、不確実性が残る。
 ワクチン接種の優先順位などが議論された8月の新型コロナウイルス感染症対策分科会。終了後に取材に応じた委員の1人は「(ワクチンが開発されても)すぐに夢のように、元の生活に戻るわけではない」と話した。発症や重症化を予防する効果がどの程度あるのかは見通せない。

◆副反応で健康被害、海外では倦怠感、筋肉痛など

 副反応(副作用)による健康被害も懸念材料だ。一般的にワクチン接種には副反応が避けられない。厚生労働省によると、海外の治験では、頭痛や倦怠けんたい感、筋肉痛などが報告されている。
 電通が8月中旬、20~69歳の男女1000人を対象に実施した調査では、ワクチン接種について「いち早く接種したい」と答えた人は1割にとどまり、8割は「他の人が接種してから」「効果や安全性が完全に立証されてから」と回答した。
 政府は予防接種法改正案で、接種後に重い副作用が出た場合に備えて患者の救済措置を整える。改正案では、新型コロナのワクチン接種は原則、「努力義務」の位置付け。接種しなくても罰則はないが、国は接種を勧める。
 厚労省幹部は「体に異物を注入する以上、副反応がないワクチンは存在しない」とした上で、各種ワクチンが使われている理由を「感染症を防御するというメリットが、デメリットを上回るから」と説明。「流行している感染症の特徴と、ワクチンの有効性・安全性を比較衡量して自分で接種を判断してほしい」と話した。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧