アリペイの新規上場、習主席が中止決める 「政府がイノベーション抑制」発言に激怒
2020年11月13日 22時09分
【上海=白山泉】中国のスマホ決済アプリ「アリペイ」を運営する金融会社アント・グループが上海・香港両証券取引所での新規株式公開(IPO)を延期していた件で、習近平国家主席が自ら上場の停止を決めたことが明らかになった。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。フィンテックの強化などに向けてIPOで史上最高額となる約3兆6000億円を調達する見込みだったが、政府が急成長する民間大手企業を厳しく管理する姿勢を打ち出した。
アントは電子商取引(EC)中国最大手のアリババグループの傘下で、今月3日、予定していたIPOを直前になって延期。先立つ10月下旬、アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が上海で開かれた金融サミットで「政府の金融規制がイノベーションを抑制している」と批判した。WSJによると、この発言に政府指導者が激怒したことが上場停止の要因だといい、「資本や影響力を集める大手民間企業に対する習指導部の許容度が低下している」と指摘した。
アリペイの電子決済サービスは国内の10億人と8000万の商店が利用し、年間決済額は118兆元(約1880兆円)。スマホ決済市場のシェアは5割を超え、ユーザーの個人情報や消費性向などのビッグデータを求めて提携しようとする企業も多い。大手国有銀行からの融資を受けにくい中小零細企業向けの小口融資にも注力し「金融の毛細血管」と称される。一方で、国有銀行はアントの成長に警戒を強めているとされる。
中国政府は親会社のアリババグループに対しても規制圧力を強化している。インターネット企業の市場独占への監視を強める新指針を、同社が仕掛ける国内最大の通販イベント「双11(ダブルイレブン)」の開催前日に打ち出した。
中国政府が大手民間企業の成長に警戒を強める中、通話アプリ「ウィチャット」を手掛けるテンセント・ホールディングスは12日、フィンテック分野での事業拡大を抑制する方針を表明した。
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