河井案里被告「票をお金で買う発想ない」 被告人質問で買収の意図否定

2020年11月13日 20時57分

公判のため東京地裁に入る参院議員の河井案里被告 (11日撮影)

 
 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、公選法違反の罪に問われた参院議員河井案里被告(47)の公判が13日、東京地裁であり、被告人質問が始まった。案里議員は地元議員に現金を配ったことを認めた上で、「当選祝いや陣中見舞いだった。票をお金で買う発想自体がない」と改めて買収の意図を否定した。
 案里議員自身が事件について語るのは、8月の初公判以来。黒いジャケットの襟元に国会議員バッジを着けた案里議員は、約3時間半にわたった弁護人の質問に、はっきりとした口調でよどみなく答えた。
 夫の元法相克行被告(57)=衆院広島3区=は昨年3~8月、選挙運動を依頼する趣旨で地元議員ら100人に計約29000000円を渡したとされ、案里議員はこのうち5人への170万円について、克行元法相と共謀したとして起訴されている。

◆「あんたは政治の子」

 被告人質問で案里議員は、まず出馬の経緯を説明。広島県議だった案里議員は2018年秋、自民党の二階俊博幹事長から「ぜひやりなさい」と出馬を勧められ、「政策実現のために最後の挑戦をしようと思った」と振り返った。克行元法相からは「あんたは政治の子。チャンスがあればぜひやりなさい」と後押しされたという。
 案里議員はこの日、地元議員5人のうち、岡崎哲夫(65)、平本徹(55)、下原康充(69)の県議3人とのやりとりについて説明した。
 岡崎県議には「(県議選)当選のお祝いです」と現金入りの封筒を渡し、「おお、案里ちゃんありがとう」と受け取ってもらったとした。平本県議には妻を通して、「これは陣中見舞いです」と現金を提供。いずれも30万円だった理由は「私が県議に初当選した際に複数の先輩にもらった額が30万円だったので、通例だと思った」と述べた。
 下原県議への50万円は「記憶にない」とし、「渡したとすれば奥さまが病気と聞いていたので、お見舞いの気持ちだったと思う」と話した。
 被告人質問は17、20の両日も予定されている。その後、検察側の論告求刑を12月15日、弁護側の最終弁論を同月23日に実施して公判を結審し、年明けにも判決が言い渡される見通し。

◆現金趣旨の食い違い鮮明に

 地元議員に渡した現金を「参院選の票の取りまとめを依頼する趣旨ではございません」と改めて主張した案里議員。現金を受け取ったとされる地元議員5人のうち4人が、「投票の取りまとめを依頼する趣旨だと思った」と証言しており、趣旨を巡る食い違いが鮮明になった。
 これまでの証人尋問で、案里議員から明確な集票依頼を受けたと証言した地元議員はいない。しかし4人は「選挙が近い時期の現金だったので、応援してほしいとの趣旨だと思った」「『陣中見舞い』や『当選祝い』などと名目が二転三転したので、違法な金だと感じた」と、参院選に絡んだ現金との見方を示した。
 一方、1人は「参院選も頭をよぎったが、広島県議選の当選祝いだと思った」と、主な趣旨は選挙運動ではないとの認識を語った。
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「現金を提供された時期や状況を考えると、地元議員らが参院選に向けた買収目的と認識するのは、自然な受け止めだと思う」と話す。
 しかし、大半の県議らが検察側の主張に沿う証言をする中、検察はいまだ地元議員らの刑事処分をしていない。案里議員の弁護人は「起訴されない約束の下での供述だ」と主張する。
 渡辺教授は「検察は疑念を払拭するためにも、地元議員の刑事責任を速やかに明らかにするべきだ」と指摘した。(山田雄之)

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