朝鮮人虐殺語り継ぐ 元中学教師が証言集の普及版出版 歴史否定が活発化「若い人に読んでほしい」

2020年11月14日 07時22分

朝鮮人虐殺証言集の普及版(現代書館)を出版した西崎雅夫さん。後方は犠牲者追悼の碑=東京都墨田区八広で、五味洋治撮影

 九十七年前の九月一日に起きた関東大震災での朝鮮人虐殺を知ってほしいと四年前に出版された証言集に、価格を三分の一以下に抑えた普及版ができた。著者は「若い人たちに証言を読んでほしい」と期待している。 (五味洋治)
 この本は「関東大震災 朝鮮人虐殺の記録 東京地区別1100の証言」。中学校教師だった西崎雅夫さん(61)=足立区生まれ、千葉県市川市在住=が当時の警察発表や報道、自伝、日記、郷土資料などから証言を集めた。二十三区の地図や証言者の索引も付いている。
 最初の本は二〇一六年に出版された。五百ページを超える分量で価格も九千円(税抜き)だったが、この本を知って、韓国から訪ねてきた人もいたという。
 一七年からは、例年墨田区で行われている朝鮮人犠牲者の追悼式に小池百合子都知事が追悼文を送るのをやめた。その数年前から朝鮮人虐殺を否定する本が出版され、追悼行事を妨害するような動きも活発化している。
 一六年の本が売り切れたため幅広い人に手に取ってもらおうと、本の内容は変えず薄い紙を使うなど工夫を重ね、二千五百円の普及版を今年出版した。
 当時高校生だったフランス文学者の田辺貞之助は、女性の無残な虐殺死体を目撃し「日本人であることを、あのときほど恥辱に感じたことはない」と書き残した。
 西崎さんは、一般社団法人「ほうせんか」の理事として、犠牲者を追悼し、語り継ぐ活動を続けている。「虐殺を否定する動きは、直接当時を知る人がいなくなったためでしょう。当時何が起きたのかを、これからも広く知らせていきたい」と話している。

朝鮮人虐殺証言集の普及版(現代書館)


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