コロナ、テレワークで加速する地方移住 東京への近さと環境の良さ前面に自治体呼び込み本腰

2020年11月14日 12時00分
 新型コロナウイルス感染の急拡大が懸念される中、東京の都心部から群馬県など地方への移住が注目を集めている。同県東部の桐生市では、中山間地域の公営住宅に子育て世代が相次いで入居し、自然の豊かさを満喫している。県や県内自治体は東京からの近さなどを売りに、さらなる移住者の呼び込みを狙う。(池田知之)

東京都内のマンションから移り住んだ自宅前でパソコンに向かう山本祐司さん=群馬県桐生市で

◆都心から群馬に、子育ても家賃も◎

 「夜空を見た子どもが『お星さまがあるね』と言い、きらきら星を歌い始めた。こんなことは東京ではなかった。感動した」
 都内のベンチャー企業に勤める山本祐司さん(36)はそう話す。桐生市に移住した決め手は「子育てに適していたから」。近くに水田があり、カエルやトンボがいて、稲が実る様子も見られる。「小さな子どもには、代え難い学びになる」と満足そうだ。
 8月に妻(32)と長男(2つ)とともに、荒川区のマンションから転居した。コロナ禍で3月以降はリモート勤務となり、4~6月は保育園も休園。東京に住む必要性は薄れた。
 移住先は、市役所から車で約30分の同市黒保根町にある「水沼定住促進住宅」。転入する子育て世代支援のため、木造平屋の3LDKを6戸新築し、2019年1月から募集を開始した。家賃は月3万4000円と、都心に比べ格安だ。

◆呼び掛けサイトのアクセス急増

 同住宅はコロナが感染拡大する以前、入居は6戸中の2戸にとどまっていた。保育園や小中学校は近いが、働き先が少ないことなどが理由とみられた。だが、コロナの収束が見通せない中、8~10月にかけて残る4戸が相次いで埋まった。
 同県渋川市は10月から、移住検討者が市内ホテルなどに2連泊以上した場合、最大2万円を補助する制度を始めた。市政策創造課は「『程よい田舎』としてPRしたい」。
 移住を呼び掛ける県のサイト「ぐんまな日々。」の閲覧者数は4月以降、前年同月と比べて約4~7割増となっている。県も10月に、全国の自治体が移住・定住を呼び掛けるオンラインのイベント「ふるさと回帰フェア」に参加。山本一太知事は「食べ物がおいしく、自然災害も少ない。東京よりゆったりできる」と力説する。
 県ぐんま暮らし・外国人活躍推進課は「東京から100キロ圏内の近さや物価の安さなどをアピールをしながら移住者を増やしたい」と話している。
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◆東京都からは流出続く

 総務省が公表した9月の外国人を含む人口移動報告によると、東京都は転入より転出が3638人多く、7月から3カ月連続の転出超過となった。同省の担当者は「テレワークの定着などにより、都心から郊外へ住み替える傾向が続いている」とみている。

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