原子力機構 変わらぬ不透明契約で70億円 河野大臣一喝「常識で考えておかしい」<行政事業レビュー>

2020年11月15日 06時00分
 政府の予算の無駄を有識者が検証する「秋の行政事業レビュー」が14日開かれ、日本原子力研究開発機構の事業を集中的に取り上げた。機構OBが役員を務める「ファミリー企業」が新会社を設立し、高い落札率で業務を受注し続けている不透明なケースが指摘された。機構とファミリー企業との取引は以前も疑問視され、関係解消を求められていた。

◆新会社隠れ蓑にファミリー企業で高い受注率

 機構の運営費のほとんどは、文部科学省の交付金が占める。業務には核燃料物質を取り扱うなど専門性が高いものもあるが、ファミリー企業との間で随意契約や、競争入札でも1社しか参加しない「一社応札」などが増えれば、税金が無駄に使われる恐れがある。
 この問題は2015年のレビューでも取り上げられ、ファミリー企業17法人による随意契約や一社応札が常態化している実態が判明。これを受け弁護士や公認会計士らでつくる機構の契約監視委員会が、18年度以降はファミリー企業との不透明な関係を一掃するよう求めていた。
 しかし、この日の検証では、核燃料サイクル関連の業務請負や労働者派遣を手掛ける「E&Eテクノサービス」(茨城県ひたちなか市)との関係があらためて問題視された。
 法人登記などによると、ファミリー企業の旧「E&Eテクノサービス」は17年4月に社名を「E&E」に変更し、同じ日に会社分割で新「E&Eテクノサービス」を設立。機構OB役員はE&Eに残り、機構と契約する新会社にはOB役員は在籍していないが、両社は同じ敷地にある。

原子力機構との不透明な取引が指摘されている「E&E」と「E&Eテクノサービス」。2社は同じ敷地にある=茨城県ひたちなか市で(宮尾幹成撮影)

 新会社が今年4~8月に機構から受注した業務は37件(約70億円)。出席した河野太郎行政改革担当相は、このうち一般競争入札の23件は多くが一社応札で、うち18件は落札率が99%以上だったと指摘。「相当に疑念がある。常識で考えたらおかしい」と追及した。
 一方、文科省はそれ以外のファミリー企業16法人も、役員交代などでファミリー性は解消されたとした。だが、内閣官房行政改革推進本部は、一連の旧ファミリー企業との契約が19年度も依然として全体の52%を占め、一般競争入札のうち69%は一社応札だったと説明。「関係適正化が形骸化し、さらなる見直しが必要ではないか」と指摘した。
 有識者メンバーの永久寿夫PHP研究所専務は「競争が生じにくい原子力関連事業の特殊性はあるが、コスト削減の努力を行うべきだ」と文科省や機構に求めた。(宮尾幹成)

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