魅力度ランキング最下位、千葉県山武市 「さんむ」が読めない? サーフィンで知名度アップの波に乗りたい

2020年11月15日 11時21分

広大な山武市の本須賀海岸に詰めかけるサーファー。この日のボディーボード教室には70代も参加した=千葉県山武市で

 
全国の1000市区町村を対象とした魅力度ランキングで、千葉県山武市が最下位となった。前年まで2年連続で999位で、今年ついに最下位に転落。太平洋に面し、近年は東京五輪効果によるサーフィンブームで観光客が増加しているが、知名度で伸び悩むなど、地域の魅力が伝わっていないようだ。(沢田千秋)

◆週末はサーファー、ロケ地で人気

 山武市の本須賀海岸は、500メートルの広大な砂浜が広がる。水質や安全性など33の基準に合格し、国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得。週末は早朝から数100人のサーファーが集い、ロケ地としても人気が高い。
 だが、埼玉県毛呂山町の会社員宮本大輔さん(45)は「サーファーだから毎週来るけど、住みたいとは思えない。空き家が多く、活気がない」と話す。山武市の高齢化率は約35%で、全国平均より約7ポイント高いが、周辺自治体も同様。ここだけ魅力がない理由とは言えない。
 一因はランキングの調査方法にありそうだ。回答者は、その地域を知らなくても「魅力的」と思うか答えねばならず、初耳なら前向きな回答は望みにくい。調査主体は、都道府県ランキングも発表している民間シンクタンクのブランド総合研究所(東京)。担当者は「都道府県と違い、市区町村の魅力度は認知度に近い」と解説。山武市の場合、回答者の約95%が魅力を感じないと答えたとみられ、認知度の低さが響いたようだ。
 「全国最下位となり、市内外から『残念なことだ』と手紙や電話がくる」。松下浩明市長(59)は落胆する。山武市は成東、山武、松尾町と蓮沼村が合併して2006年に誕生。松下市長は「蓮沼ウォーターガーデンや成東イチゴなど、合併前の旧町村名を知っている人はいても、山武という名前が千葉県内ですら浸透してない。しかも『さんむ』が読みづらい。合併時に候補にあった『太平洋市』の方がよかったかも」と嘆く。
 999位が続き、対策を練っていた中での最下位。市長は「PRや情報発信が下手だった」とし、ユーチューブや東京メトロの車内広告などで認知度アップを狙う方針だ。
 もう一つの要因として、山武市が海の魅力を生かし切れていないとの指摘もある。本須賀海岸近くのサーフショップ店長の工藤州大さん(44)は「せっかくいい海があるのに、山武の人は入らない。行政も海で楽しんでもらおうという発想が足りない」と手厳しい。
 山武市の南二十キロにある一宮町は、東京五輪のサーフィン会場があり、海沿いに店舗や飲食店、宿泊施設が立ち並び、にぎわいを見せている。町職員のサーファーも多く、小学校ではサーフィンの体験授業を行う。

◆最下位はチャンス

 他方、山武市職員にサーファーはおらず、学校は海に行かないよう指導する。市企画政策課によると、海岸から沖合に戻る強い流れ「離岸流」を地元では「みお」と呼び、海を危険視。堤防がないため潮流が読みづらいのだ。1980年代ごろまでは夏に多くの海の家が建ち、地元の子どもも海で遊んだが、いつしか、山武市は住民を海から遠ざけていった。
 山武市を拠点に活動するプロボディーボーダー汐月麻子さん(46)は「本須賀海岸のサーファーの数は激増したが、ここが山武市と知らない人が多い。魅力最下位は山武の名前を知ってもらうチャンス」と前向きだ。「野菜は新鮮で海の幸も豊富でおいしい。海沿いにレストランや宿がもっと増えれば、良いイメージが広まっていくはず」と信じている。

魅力度ランキング 2006年に始まり、今年で15回目。都道府県と1000の市区町村の2部門で、市区町村は全国の792市と東京23区、ブランド総合研究所が選んだ185町村。調査は今年6月下旬から1カ月間実施。1自治体につき、認知度や魅力度、イメージなど84項目の質問があり、20~70代の約3万2000人がインターネット上で参加。1人が20地域に回答しており、1地域平均回答者数は約600人。

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