「大学のコロナ研究支援」名目 国が「10兆円」ファンド計画 投資失敗なら国民負担のリスクも

2020年11月16日 06時00分
 文部科学省と内閣府は、国費を株や債券に投資し、運用益を国公立大などの研究資金に充てる巨大ファンドをつくることを計画している。文科省などは「新型コロナウイルス対応」の名目でこの構想を2021年度当初予算案の概算要求に盛り込んだ。ただコロナ対策との関わりは薄い上、具体的な運用の仕組みの検討は不十分なまま要求。運用に失敗すれば、損失穴埋めのための国民負担が生じる恐れもある。(森本智之)

◆概算要求はコロナ便乗?!

 今回の概算要求は「新型コロナ対応など緊要な経費」に限り、予算の増額が認められている。文科省は「大学の活力が増せばコロナに役立つ研究も進む」などとファンドの必要性を説明。概算要求では具体的な要望額を示さない「事項要求」で予算化を求めた。ただ政府内では「コロナ便乗だ」との批判もある。
 ファンドへの拠出額は予算査定の中で議論するが、政府関係者によると、10兆円規模を想定している。税金をどの程度投じるかなど財源の調達法についても検討中だが、一部を大学側に負担させる案が浮上している。運用失敗の際のリスクなどから全額を国費で負担することへの懸念が根強いためだ。財務省内には「大学側の負担を少なくとも5割に」と求める声もある。
 文科省によると、米ハーバード大は寄付などで集めた4兆5000億円をファンドで運用。スタンフォード大も3兆1000億円を運用する。これに対し日本では、東大でも110億円規模にすぎない。文科省などは日本の大学が研究分野で海外に追いつくには、国費を原資とする巨大ファンドが必要とみている。

◆政治と思惑一致で進展

 文科省などはファンドの運用は民間に委託し、損失が出にくい債券を中心に複数の金融商品を組み合わせ、運用失敗のリスクを減らす方針だ。だが日銀のマイナス金利政策もあって運用環境は悪化しており、利益を出すのは簡単ではない。民間に委託すれば、運用に失敗した際の責任もあいまいになりやすい。
 文科省などのファンド構想は数年前から水面下で検討されてきたが、自民党の支持もあり、政府が7月にまとめた経済財政政策の指針「骨太の方針」に盛り込まれた。文科省幹部は「政治と思惑が一致し、制度設計が固まらないまま予算要求した」と認めている。

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