歓喜の250年 ベートーベン祭

2020年11月16日 06時59分
 作曲家ベートーベン(1770〜1827年)の生誕250年に当たる今年だが、「密」を避けようと年末恒例の交響曲第9番(第9)の公演が一部で中止されるなど、新型コロナウイルスへの不安が祝賀ムードに影を落としている。だけど、せっかくの記念の年。楽聖に思いをいたす手掛かりを探してみた。

◆ベントーベン!!

「弁当弁」店員の猪腰草太さん=川崎市麻生区で

 ベントーベン。子どものころ、こう言い間違えたことはありませんか。川崎市麻生区の「弁当弁」は、知的障害者七人が勤める弁当屋さん。配達とイートインで月曜−木曜に一日百二十食を提供する。
 運営するNPO法人「ぶらりば」は同区で一九九九年、音楽に親しみながら放課後を過ごす知的障害児の支援グループとしてスタート。利用者の成長にともない、就労の場をつくろうと二〇一二年に開店した。「音楽ゆかりの弁当店だから『弁当弁』」と小幡富士雄理事長(73)。上下左右から「弁当弁」と読める看板が目印だ。誕生直後のベートーベンが洗礼を受けたとされる十二月十七日には、一部の食材に、こてで「250年」と書き込むという。

◆うんめーい

レオノーレが販売する「ベートーヴェンのべんとー箱」の使用イメージ=同社提供

 偉大な作曲家の名前から「弁当」を連想するのは東西を問わない。音楽グッズの「レオノーレ」(大阪市)は昨年三月、「ベートーヴェンのべんとー箱」(税込み九百九十円)を発売。「記念の年に買いたい」と今年も好評で計二千六百個が売れた。
 店舗はコンサートが開かれる「フェスティバルホール」(同市北区)と同じビルにある。コロナ禍で公演の中止や延期が相次ぎ、「公演後に寄ってくれるお客さんが減って厳しい」と鳥井尚美店長。でも「この弁当箱に詰めたら、きっとお味も『運命(うんめーぃ)』」とPRしつつ、オンライン販売を続ける。

◆楽聖のために 特別ランチ

ベートーベンにちなんだ横浜ロイヤルパークホテルのスペシャルランチ

 お次は弁当ならぬランチ。横浜ロイヤルパークホテル(横浜市西区)のレストラン「フローラ」では「生誕250年スペシャルランチ」を味わえる。ジャガイモ製のパンケーキ「カルトッフェル・プッファー」を添えた白身魚のポワレや、オーストリア伝統の菓子「シュトゥルーデル」風に薄い生地でリンゴを巻いたデザート。食べれば、ベートーベンが生まれたドイツや活動拠点のウィーンに思いをはせられる?

パイのト音記号がアクセント=横浜市西区で

 来年一月六日までの限定メニュー。パイ生地のト音記号やパプリカソースで描かれた音符なども楽しい。メニューを消毒しやすくラミネート加工するなど感染対策も。「食でベートーベンに思いを寄せて」と広報担当の三留彬(みとめあき)さん(32)は話す。税など込みで二千七百八十三円。

◆聖地の熱情 疑似体験

今年8月に出版された「ベートーベンの真実」

 「コロナ禍でゆかりの地を訪ねるのは難しい。写真を見て疑似体験を」と話すのは、写真家の鷹野晃さん(60)。作家の谷克二さん(79)と二〇一八年秋、生誕地のボンやウィーンで取材、今年八月に「ベートーベンの真実」(角川書店、税別千七百円)を出版した。
 ピアノなどの遺品を集めた生家「ベートーベン・ハウス」やメトロノームの形をした墓など写真は五十八点。谷さんは、ベートーベンが残した多くの手紙や、産業革命などの歴史的背景を基に文章をまとめた。
 谷さんは「取材時の現地は、生誕二百五十年の記念イベントを目指し、五輪・パラリンピックに向かう東京のように熱気があった。今はコロナの影響でがっかりしているのでは」とおもんぱかりながら、本について「音楽の世界をがらりと変えた、彼の人物像をイメージするきっかけに」と話した。
 文・梅野光春/写真・木口慎子、梅野光春
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

関連キーワード

PR情報

TOKYO発の最新ニュース

記事一覧