新型コロナ検査 1日54万件可能と言うけれど…34万件は精度低い簡易キット

2020年11月17日 09時44分
<新型コロナ再拡大(3)>
 新型コロナウイルスの陽性、陰性を判定する検査能力は1日約54万件―。感染拡大ピーク時、全国の医療機関などが行えるというPCR検査、抗原定性検査(簡易キット)、抗原定量検査の総件数だ。政府がピーク時に想定する検査数46万件を上回る。

◆PCR検査はピーク時で17万件「持続的には無理」

 では、現状はというと、まず、全国で1日に可能なPCR検査数は8万5000件。厚生労働省によると、12日に行われたPCR検査は約3万件。まだ余裕がある。
 ピーク時は1日17万件。だが、検査に携わる人員などを考えると「持続的にできる検査数ではない」(厚労省の担当者)。そこで注目されるのが、2人以上の検体をまとめて分析する「プール方式」だ。
 陰性なら全員陰性。陽性なら、個別に再検査をして陽性者を探す。米国では感染拡大に伴い、4検体を1度に検査するプール方式が緊急的に許可された。

◆複数まとめて検査の「プール方式」、厚労省は否定的

 東京都世田谷区が導入を目指しているが、厚労省は「精度が不明」として、国費による行政検査での使用を認めていない。例えば4人分をまとめて検査すると、唾液など1人当たり検体量が少なくなり、含まれるウイルスも減って判定しにくくなるからだ。厚労省は国立感染症研究所の調査結果をみて、使用可能か見極める。
 一方、ピーク時に約54万件のうちおよそ6割、約34万件を賄うのが簡易キットだ。

◆安倍前首相約束の「1日20万件」は簡易キットのこと

 「インフルエンザとの同時検査が可能となるよう、1日20万件の検査体制を目指します」。8月、安倍晋三首相(当時)は辞意を表明した記者会見で、そう宣言した。この20万件は簡易キットを指す。
 厚労省によると、毎年の流行期のインフルエンザ検査数は1日平均20万件。担当者は「簡易キットが1日20万件あれば、診療所でインフルとの見極めができる」と説明する。来年1月には体制が整うという。
 簡易キットの強みは30分ほどという短い判定時間。だが、PCR検査と抗原定量検査に比べて一定量のウイルスが必要となるため精度は低く、発症中でも陽性を見逃す可能性もある。

◆キットは便利でも…使えるのは発症から2~9日以内、無症状には無理

 「便利だけど、結局、PCR検査に頼らないといけない」。9月から簡易キットを使い始めた東京・新宿にある診療所の30代の開業医。患者を待たせ、陽性なら直ちに保健所に連絡して隔離する。やっかいなのは陰性の時だ。
 「陰性でも、体温38度超などの症状があれば、PCR検査も追加して受けてもらっている。偽陰性だった場合、周囲に感染させる可能性があるから」
 厚労省は、ウイルス量が多い「発症から2~9日以内」に限り、簡易キットで陽性、陰性を確定できると定める。無症状の濃厚接触者の検査には使えないため、クラスター(感染者集団)対策には残念ながら活用できない。

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