「最後はトランプが勝つ」 Qアノン支持の候補者当選、消えない陰謀論

2020年11月16日 21時31分

米ワシントンで14日、大統領選で不正があったなどと訴えて集まったトランプ大統領の支持者ら=岩田仲弘撮影

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米大統領選はトランプ大統領の敗北が確実となったが、トランプ氏を「悪魔と戦う救世主」とする陰謀論「Qアノン」は衰えていない。下院選では複数の州でQアノン支持を公言した候補が当選。リベラル色が強い東部ニューヨーク州でも地方議員が誕生する勢いだ。信奉者の間では、大統領選も最後にトランプ氏が勝つという新たな陰謀論が広がっている。
 下院選では南部ジョージア州で、Qアノンについて「Qは愛国者だ」「(内容は)聞くに値する」と述べていた共和党の女性実業家マージョリー・グリーン氏(46)が当選。同氏は議席獲得が現実味を帯びた8月ごろから陰謀論に距離を置く姿勢も示したが、以前から「黒人は民主党の奴隷だ」などの差別発言も多い。
 西部コロラド州で勝利した共和党女性のローレン・ボーベルト氏(33)は以前、右派の集会で「わたしがQアノンについて聞いたことの全てが真実であると願っている」と発言している。

積極的な陰謀論主張候補にも勢い

 いずれも集票を意識し、信奉者に接近した可能性はあるが、地方選ではより積極的に陰謀論を主張する候補も当選に近づいている。
 不在者投票を集計中のニューヨーク州議会選では、80年以上も民主党が勝ってきた選挙区で共和党のマーク・シュスケビチ氏が優勢。自称金融アドバイザーで俳優の同氏は、ネットで有名俳優の名を挙げて小児性愛者と示唆し、「新型コロナウイルスの致死率はインフルエンザ以下」といった偽情報を拡散してきた。
 トランプ支持者の間でも、陰謀論は衰えていない。ネット上では「トランプ氏は不正を証明できるよう本物の投票用紙に独自の透かしを入れており、最後は不正票を排除して勝利する」との説が生まれ、Qアノン信奉者が拡散している。大接戦となった東部ペンシルベニア州でトランプ派のデモに参加したエンジニアの男性(68)は、本紙の取材に「民主党はトランプ氏の仕掛けた罠にかかった。わたしはすべて知っている」と自信満々で述べた。

「信奉者による騒乱が起きるかも」

 こうした状況に、陰謀論への批判活動を展開する研究者マイク・レインズ氏は「トランプ氏が不正選挙を主張する訴訟がすべて却下された場合、暴発したQアノン信奉者による騒乱が起きるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

 Qアノン 民主党や財界、芸能界の大物らの一部は悪魔を崇拝する小児性愛者で、闇の国家「ディープステート」をつくり世界を支配しているという陰謀論とその信奉者。2017年にネットの匿名掲示板で「Q」を名乗る書き込みから広がった。既得権益層への反感やコロナによる自宅でのネット接触時間の増加などで、信奉者は数百万人まで増えたとの見方もある。米連邦捜査局(FBI)は国内テロにつながる脅威と認識している。

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