コロナの冬 春の給付金も枯渇…「年末まで持たない」 中小企業から悲鳴

2020年11月16日 20時58分
 2020年7~9月期のGDPは、新型コロナウイルス感染拡大の落ち込みの半分を取り戻したにすぎない。経済の2本柱である消費と生産が「低空飛行」を続ける中、政府支援策の効果は薄れつつあり、連鎖倒産や雇用悪化の広がりも懸念されている。(大島宏一郎、森本智之)

◆雇用悪化、連鎖倒産の恐れも

政府に消費喚起策の充実を求めるユナイテッドヌードジャパンの青田行社長=東京都港区北青山で

 「春の休業でなくなった売り上げはカバーできない」。東京・表参道などで婦人靴を販売する「ユナイテッドヌードジャパン」の青田すすむ社長は話す。6月に営業を再開したが、客足はコロナ前に比べて少なく、本年度の売上高は前年度の70%にとどまる見通し。青田社長は「政府は消費を活性化させるムードをつくってほしい」と訴える。
 アパレル業は、老舗のレナウン倒産など苦境に陥る。昨年10月の消費税増税後、暖冬による冬物衣料の販売不振に見舞われ、今春の外出自粛がとどめを刺したからだ。この余波を受け、女性ファッション誌「JJ」は、12月発売の来年2月号を最後に不定期刊行とすることを発表した。業界内では事実上の休刊と受け止められる。

事実上の休刊を発表した「JJ」の2020年12月号

◆アパレル苦境「おしゃれして外出の欲望持てず」

 「an・an」の元編集長で跡見学園女子大の富川淳子あつこ教授によると、ファッション誌は広告収入が不可欠だが、コロナで打撃を受けたアパレルなどが広告費を削っている。富川教授は「おしゃれして外出したいという欲望が持てなくなった」と消費者意識の冷え込みも指摘する。
 製造業の回復も道半ばだ。7~9月のGDPは自動車の販売や輸出が好調だったが、埼玉県戸田市内で自動車部品の熱処理加工業を営む40代の男性経営者は「コロナの影響が出始めた2月以降、9カ月連続で売上高は前年割れ」と語る。
 取引先が人員削減などの雇用調整を進めており、部品や素材は思うように回ってこない。先行きが見通せず、新たな設備投資にも踏み切れずにいる。「コロナ禍の恐怖が植え付けられた。売り上げの原資もない」

◆特例措置は年末まで 途切れれば…

 東京商工リサーチによると、コロナ関連の倒産は10月に月別で最多となる105件を記録。情報本部長の友田信男氏は「春に持続化給付金などを受け取った企業の資金が半年後に枯渇した」と分析。家賃支援給付金の支給率が低い点も挙げ「年末まで持たないところも出てくる」と見通す。
 倒産の広がりは雇用にも悪影響を及ぼす。実際、全国労働組合総連合(全労連)には「会社の倒産で仕事を失った」との相談が10月に急増したという。渡辺正道・事務局次長は、雇用調整助成金の上限額を引き上げる特例措置が年末までとなっている点に着目。「政府は延長などを検討しているようだが、措置が終われば、解雇や雇い止めが広がりかねない」と懸念する。

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