檜原の「地紅茶」情熱、注いでます 29日にサミットも開催

2020年11月17日 06時27分

やわらかな味が魅力の「ひのはら紅茶」

 紅茶の産地といえばインドやスリランカだと思われているが、東京にも地酒ならぬ「地(じ)紅茶」がある。そのひとつが檜原村の「ひのはら紅茶」。田舎暮らしに憧れ移住した戸田雅子さん(71)が、荒れ果てた茶畑を手入れしたことから生産が始まった。コロナ禍でオンライン開催になったが、今月29日には「全国地紅茶サミット」が東京で初めて檜原村で開かれる。
 戸田さんは都心で高校教師をしていたが、自然あふれる中で生活したいと二〇〇三年に檜原村に移住した。三年がたったころ、イノシシが村の畑を荒らすようになった。村の人から、イノシシが隠れやすい自宅近くのやぶを手入れするように言われ、ばっさり切ると、その後新芽が出てきた。やぶだと思っていたのは、お茶の木だったのだ。
 二〇〇八年、茶葉を収穫して日本茶を作った。茶葉は摘まれた瞬間から発酵が始まり、熱を持つ。しかし、製茶所がある瑞穂町は檜原村から遠い。実はほとんど日本茶と紅茶は製茶の方法が違うだけで、もとは同じ茶葉。紅茶なら摘んだその日のうちに製茶しなくてもいいと知り、「東京紅茶」を作る東大和市の木下園に製茶を依頼した。こうして一〇年、「ひのはら紅茶」が誕生した。
 翌年は木下園で製茶ができず、静岡市駿河区の「丸子紅茶」の村松二六(にろく)さん(80)に紅茶の製茶を依頼。村松さんは国産紅茶の先駆者で、おいしい紅茶を作る人として全国に名が知られている。二年間、春の新芽が出た一番茶、夏の二番茶の年二回、村松さんの指示で製茶を手伝ううちに、戸田さんはいつの間にか紅茶を一人で作るまでになっていた。村松さんは紅茶作りを教えてくれていたのだと、後から気付いた。
 村松さんから製茶の機械を譲ってもらい、檜原村での本格的な製茶が始まった。借りている茶畑も四千平方メートルまで広がった。戸田さんの紅茶を飲んでみると、砂糖は入っていないのにわずかな甘みを感じる。柔らかくやさしい味だ。インパクトが強い英国紅茶とは違った世界が広がった。

茶畑の手入れをする戸田雅子さん

 全国の紅茶生産者と愛好家が紅茶の産地に集う「第十九回全国地紅茶サミットin東京ひのはら」は、オンラインで今月二十九日に開催される。実行委員長は戸田さんだ。
 サミットに先立ち、十月十、十一日に静岡市の丸子紅茶で「秋の紅茶作り@丸子」というイベントがあり、戸田さんも参加。村松さんの技法を講習生に教える手伝いをした。「べにふじ」という茶葉を使い、紅茶以外にも釜で加熱する「釜煎(い)り緑茶」、ウーロン茶を作った。同じ茶葉から緑茶、ウーロン茶、紅茶の三種類のお茶が作られる様子を熱心に見つめていた戸田さんは「檜原村でも将来、さまざまなお茶を作りたい」と夢を膨らませた。
 「全国地紅茶サミットin東京ひのはら」のオンライン参加チケット購入は公式ホームページ(https://tokyoteasummit.stores.jp/)で。午前の部・午後の部各百五十人限定、五千五百円。全国二十五茶園の地紅茶飲みくらべセットと、檜原村のヒノキで作った折り畳み式の茶さじ付き(後日郵送)。ビデオ会議で生産者や紅茶ファンと歓談できる。

◆商品のお求めは…

 ひのはら紅茶は通販で購入できる。住所、氏名、電話番号を明記し〒190 0223 檜原村1282「檜原雅子」へ。21グラム入り税込み540円。送料が別途必要。このほか千代田区岩本町1の1の4、アシストコーヒー ロースタリー(地下鉄日比谷線小伝馬町駅徒歩5分)でも販売している。

檜原村の豊かな自然から生まれたひのはら紅茶

 文と写真・立浪基博
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