長引く在宅勤務 遅寝遅起き増加 「体内時計」意識し改善

2020年11月17日 07時05分
 新型コロナウイルスの流行が長期化する中、在宅勤務を続けている人は少なくないだろう。通勤時間がなくなって睡眠時間が伸びたという人がいる一方、生活のリズムが乱れ、睡眠の質が落ちたと感じる人も増えている。快適な睡眠で疲れをしっかり取るためのこつを専門家に聞いた。 (熊崎未奈)
 睡眠に関する情報発信や従業員の健康づくりを重視した経営を支援する「ブレインスリープ」(東京)は緊急事態宣言下の四月、東京都など七都府県の千人に調査を実施。新型コロナの影響を受ける前後で、睡眠に変化があったかどうかを尋ねた。それによると「影響があった」と答えた人は全体の32・8%に上った。
 特に、在宅勤務になるなど働き方が変わった人では44・3%にも。通勤時間がなくなって睡眠時間が伸びる一方、遅く寝て、遅く起きる「夜型」になる傾向が顕著だった。また、睡眠の質が悪化したと感じている人も13・8%に達した。
 名古屋市の仁愛診療所名駅睡眠医療センター長、中山明峰さん(59)は、出勤の必要がないリモートワークの広がりを受け「不眠だった人で、睡眠時間が確保できるようになったという例は多い」と指摘。一方で「普段寝ている時間に眠れないという症状を訴える患者も少なくない」と話す。
 中山さんは、コロナ禍の睡眠障害の大きな原因として、在宅勤務や外出自粛による運動不足を挙げる。日中のエネルギー消費量が減ると、体は長く寝る必要がないと判断してしまう。
 もう一つは、一日の睡眠と覚醒のリズムを制御する「体内時計」の乱れだ。人間の体内時計はもともと二十四時間周期でなく、少し長い。朝起きて日の光を浴びれば、このずれはリセットされる。しかし、遅寝遅起きで光を浴びる時間が遅れると、体内時計は少しずつ後ろにずれ、その結果、朝起きづらくなるという。
 快適な睡眠を取るためのポイントは二つだ。まずは「夜は眠くなる前に床に就かないこと」。眠気がないのに布団に入ると、眠れないことへの不安が高まる。寝つきに時間がかかることを体が覚えてしまい、不眠になりやすいという。
 二つ目は「朝は決まった時間に起きること」。体の機能を回復させるには、最低七時間は睡眠を確保したい。ただ、あまり眠れなくても、朝は同じ時間に起きる習慣をつけた方がいい。起床時間が遅くなると、眠気が来る時間も遅れ、寝つきが悪くなるためだ。
 「足りない睡眠は昼寝で補って」と中山さんは言う。ただし、横にならず、なるべく座ったままで眠ることが大事だ。一時間以上は寝ないようにも注意。体が十分な睡眠を取ったと勘違いし、夜の寝つきに影響する。昼寝前にコーヒーや緑茶を飲むと目覚めがいい。覚醒作用のあるカフェインは、飲んで三十分ほどで効き目が出るためだ。
 快適な睡眠を取るには、五千〜一万歩は歩くなど、日中に適度な運動を心掛けることが大事。夜の入浴は寝る約一時間前がベスト。手先や足先の血管が広がって熱が逃げやすくなり、体の中心部の温度が下がって眠気が来る。テレビやスマートフォンといった光を出すものは脳や目を刺激するため、寝る前一時間は避けたい。
 中山さんは「日本人は世界的にも睡眠時間が短く、もとから慢性的に睡眠不足の人が多かった」と指摘。睡眠不足は疲労の蓄積や集中力の低下などさまざまな不調の原因に。質の良い睡眠は、新型コロナから体を守ることにもつながる。

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