ガラクタこそ面白い 荒俣宏さん、創作の秘密に迫る 日比谷図書文化館

2020年11月17日 07時33分

魚の博物画。壁に張られているのはマンガになった「帝都物語」の原画=いずれも千代田区で

 ベストセラー「帝都物語」など小説のみならず、神秘学、博物学、風水と幅広い分野で執筆を続ける作家荒俣宏(あらまたひろし)さん(73)の創作の秘密に迫る展覧会が日比谷図書文化館(千代田区)で開かれている。子どものころからの収集品や作品を並べ「他人が見向きもしないものを評価する」ことにささげた人生を紹介する。 (浅田晃弘)
 展覧会のタイトルは「荒俣宏の大大マンガラクタ館」。マンガラクタとは、荒俣さんの造語で「だれかに発見されない限り、ゴミくず同然に埋もれてしまう」ガラクタのようなものこそ面白がろうという思いがこめられている。
 荒俣さんが館長の「京都国際マンガミュージアム」で今夏、先行展示した内容に新たな資料を加え、再構成した。

荒俣宏さんのインタビュー映像

 東京で生まれ育った荒俣さんは、貸本マンガに親しんだ。書店で販売される子ども向けマンガにはない、怪しさがあったという。自分でもプロを目指してマンガを描いた。慶応大学の学生時代は、同人誌「東京ジュニア」の常連だった。
 マンガとともにのめり込んだのが怪奇文学だった。中学生のとき「吸血鬼ドラキュラ」の翻訳者・平井呈一(ていいち)に手紙を書いた。平井から原書を読むよう勧められ、百冊の読破を志した。そのときの読書ノートが残る。
 少年時代から、今も続くのが生きものへの関心だ。中学時代の「金魚熱帯魚飼育日記」は、細密な描写が目を引く。十八〜十九世紀に刊行された博物図鑑、博物画の世界的コレクターとなる芽生えが感じ取れる。

資料は段ボールに入れて展示。直筆のコメントも

 平凡社から出版し、サントリー学芸賞を受賞した「世界大博物図鑑」は、一九八五年の制作開始から九四年の刊行完結まで十年近くをかけた大著だ。
 「帝都物語」は、平将門の怨念を利用して東京の壊滅をもくろむ超能力者と、立ち向かう人々との、明治末から百年間にわたる戦いの物語。荒俣さんの博覧強記が詰め込まれた「現代の奇書」は、映画やマンガでもヒットした。
 展示を企画した、京都精華大マンガ学部特別任用准教授のイトウユウさんは「荒俣さんの人物像を知ってもらいながら、美術とは何か、ミュージアムとは何かということを考える機会になれば」と訴えている。一般三百円、大学・高校生二百円。十二月十六日まで。問い合わせは、日比谷図書文化館=電03(3502)3340=へ。

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