宮城県知事「苦渋の決断」、経産相「原子力欠かせない」 女川原発2号機の再稼働同意で面談

2020年11月18日 18時20分
東北電力女川原発2号機を巡り、原発が立地する宮城県の村井嘉浩知事らが18日午後、東京・霞が関の経済産業省を訪れ、梶山弘志経産相と面談し、再稼働に同意したことを伝えた。これで再稼働に必要な地元同意の手続きは終わり、東北電は事故対策工事の完了を見込む2022年度以降に再稼働させる見通しとなった。(小野沢健太)
村井知事は経産省で「県民から安全性や防災対策への不安の声が多く、苦渋の決断だった」と述べ、再稼働の必要性を県民に説明するよう政府に求める要請書を手渡した。梶山経産相は「安全確保を大前提に原子力の利用は欠かせない。今後も丁寧に説明する」と応じた。

梶山弘志経済産業大臣(右)に要請項目を伝える宮城県の村井嘉浩知事(左)=11月18日午後、東京・霞が関の経産省で

面談は冒頭部分が報道陣に公開された。村井知事の発言は以下の通り。
「先日電話で了承する旨連絡しましたが、本日はその旨正式に文書で回答します。宮城県では要請を受けて8月に住民説明会を開きました。その後、町議会、市議会での議論をへて県議会で容認の意思が示されました。県内全市町村長の意見を聞くために開いた市町村長会議ではさまざまな意見が出ましたが、最終的に知事と石巻市長、女川町長に判断が委ねられました。そして、先週11日に女川町および石巻市長と三者会議を行い、安全性、防災対策、県民の意見などの観点から検討した結果、県民の安全性や防災対策の不安や懸念の声も大きく、苦渋の決断ではありましたが、大臣に了承を回答するのにあわせて、必要な要請をすることとしました」。この後、要請文を読み上げた。

◆梶山経産相「説明に終わりない」「原子力の将来、集中的に議論」

要請を受けた、梶山経産相の発言は以下の通り。
「村井知事をはじめとして、宮城県の皆さまには国のエネルギー政策について大変なご理解とご協力をいただいていることを改めてお礼申し上げます。女川原発2号機については先週11日に再稼働へのご理解をいただきました。こころより感謝申し上げます。エネルギー政策や再稼働の必要性への説明は、その活動に終わりはないと思っています。引き続き関係者の声にしっかりと耳を傾け、宮城県はじめ立地地域の方々、国民の皆様にわかりやすく丁寧な説明を尽くしていきたいと思っています」
「原子力の利用を含めた持続可能なエネルギー政策を示すべきという点については、エネルギーは国民の暮らしや経済の基盤であります。電気の安価で安定的な供給や気候変動問題を考えれば、安全確保を大前提に原子力の利用は欠かせないものと思っています。さまざまな課題に対してしっかりと方向性を示していくことが政府の責任と考えております。現在、次期エネルギー基本計画の議論を始めたところですが、安定供給はもちろん、2050年カーボンニュートラルという視点も踏まえて、原子力の将来のあり方を含め、集中的に議論していきたい」
「使用済み燃料については、資源の有効活用などの観点から再処理することが我が国の基本方針であります。引き続き、六カ所再処理工場(青森県)の進行やプルサーマルの推進など核燃料サイクル政策をしっかりと推進していきたい。高レベル放射性廃棄物の最終処分については、北海道の寿都町や神恵内村においてまさに昨日、文献調査を開始したところであり、今後も着実に進めていきたい」
「最後に原子力発電所の安全対策や避難対策、社会資本の整備については関係省庁が密接に連携して取り組むことが不可欠と考えております。最大限努力していきたい。特に原子力災害対策については、計画の継続的な見直しや訓練による改善、道路の整備など村井知事の意見もうかがいながらしっかりと進めていきたい。今後とも政府として責任を持ってエネルギー政策、原子力政策を進めていきたい。本日はありがとうございます」

再稼働への同意を伝える文書を梶山弘志経済産業相(右)に手渡す宮城県の村井嘉浩知事=11月18日午後、東京・霞が関の経産省で

◆東北電社長「運転再開は再出発、安全の高みを追求」

これに先立ち、村井知事と原発が立地する女川町の須田善明町長、石巻市の亀山紘市長ら3人は18日午前、東北電の樋口康二郎社長と宮城県庁で面談し、地元同意が必要となる対策工事の開始を了承した文書を手渡した。村井知事は「東京電力福島第一原発事故のような重大事故を決して発生させないよう努力してほしい」と要請した。樋口社長は「運転再開を再出発と位置づけ、さらなる安全の高みを追求していく」と話した。
女川原発は東日本大震災の震源に最も近い原発で、津波で一部の電源を失ったほか、建屋コンクリートに多数のひびが入るなどした。事故時の避難計画が策定が義務付けられている原発30キロ圏内の自治体からは、再稼働に反対する意見も出たが、県と立地自治体の3首長が11月11日に同意を表明した。原子力規制委員会の審査終了から9カ月でのスピード判断だった。

◆被災原発の東海第二 再稼働には周辺6市村の「同意」必要

被災した原発としては他に、日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県)と東電の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が、再稼働に必要とされる原子力規制委員会の審査をクリアして、原発の新規制基準に適合。再稼働に地元同意を得た被災原発は、女川原発が初めてとなった。
東海第二原発は地元同意の範囲が立地自治体だけではなく、30キロ圏内の水戸市など6市村に広がっており、原電は再稼働の時期を見通せない。柏崎刈羽原発は、新潟県による福島第一原発事故の検証が終わっておらず、再稼働への議論は進んでいない。

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