<ふくしまの10年・元牛飼い2人の軌跡>(8)栽培3年 つかんだ手応え

2020年11月19日 07時22分

農地除染が終わり、2016年から牛の飼料とするためのデントコーンの本格栽培が始まった=南相馬市で(相馬秀一さん提供)

 原発事故で酪農の道を閉ざされながらも、南相馬市小高区の元酪農家、相馬秀一さん(44)は二〇一四年から飼料生産の道を探り始めた。未除染の農地での試験栽培だったため、とても飼料に使えるようなものは採れなかった。
 翌一五年、除染が済んだ農地で再びチャレンジした。デントコーン(飼料用のトウモロコシ)に含まれる放射性セシウムは一キロ当たり一五ベクレル前後まで下がった。
 「お、これならいけるんじゃないか」。酪農組合独自の基準(三〇ベクレル)は十分にクリアしている。相馬さんの心に希望の明かりがともった。
 「まだ足りない。このレベルだと、牛に与えられる量が限られてしまう。一ケタにしないとだめだと思った。それに、場所によっては濃度が高く、改善する余地はまだあるなあと」
 県の協力を得ながら研究した結果、一つの糸口が見つかった。「コーンは熟すに従ってセシウム濃度が低くなり、早刈りは厳禁」ということだった。なぜそうなるかは不明だが、とにかく法則性があるのは明らかだった。
 一六年はこの法則を守って収穫した結果、一・八〜八・〇ベクレルまで下がり、「一ケタまで下げる」目標を達成した。
 「十分商売になると思いました。牧草も含め飼料の需要はあり、担い手のいなくなった農地も守れる」
 ◇ご意見はfukushima10@tokyo-np.co.jpへ

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