軍民両用研究、学術会議に検討要請 井上担当相 組織見直し論絡め揺さぶり

2020年11月19日 07時47分
 井上信治科学技術担当相は17日の参院内閣委員会で、軍民両用(デュアルユース)技術の研究に関して「時代の変化に合わせて冷静に考えていかないといけない課題だ」と述べ、軍事・安全保障分野の研究に否定的な日本学術会議に再考を求めていることを明らかにした。菅義偉首相が進める組織の見直し論議に絡め、学術会議に方針転換を促した格好だ。

井上信治科学技術担当相(9日撮影)

 自民党の山谷えり子氏は参院内閣委で、学術会議が軍事研究への反対姿勢を示した2017年3月の声明を取り上げて「国内の軍事科学研究を忌避するおかしな姿勢だ」と強調。インターネットや衛星利用測位システム(GPS)を挙げて「現代は民生技術と安保技術の境界がなくなってきている。学術会議が学問の自由をむしろ阻んでいるのではという声もたくさん上がっている」と訴え、学術会議を批判した。
 これに対し、井上氏は「梶田(隆章)会長にさまざまな問題意識を伝えている。まずは学術会議自身でどういった検討をするのか、今、待っている」と答弁。学術会議が自ら課題を検証して年内に政府への報告をまとめることになっていると説明した。
 菅首相による新会員任命拒否を受け、井上氏と梶田氏は先月の会談で、学術会議の提言機能などを検証することを申し合わせた。軍民両用技術の研究を巡るやりとりについては、公表していなかった。
 学術会議は科学者が太平洋戦争に協力した反省を踏まえて1949年に創立された経緯から、軍事目的の研究と一貫して距離を置いてきた。軍事研究に反対する声明を50年と67年に発表し、防衛省が軍事転用可能な研究への助成制度を拡充した後の2017年3月にはこの2つを「継承する」との声明を出した。首相官邸による学術会議の会員人事への介入は17年の声明の前後に事実上始まったことが判明している。(生島章弘)

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