コロナで女性の雇用急減、自殺者は増加 男性より深刻 内閣府の有識者研究会が処遇改善提言

2020年11月19日 18時30分
 新型コロナウイルスの感染拡大が女性に及ぼす影響を議論する内閣府の有識者研究会は19日、女性就業者の割合が高い保健師や保育士の処遇改善などを求める緊急提言を、橋本聖子男女共同参画担当相に提出した。コロナ禍では雇用環境や家庭生活を巡って、女性を取り巻く状況が厳しさを増すデータが相次いで示されている。有識者は「女性に不利な日本の社会構造がより顕在化した」と分析。感染拡大の「第3波」となれば、女性へのしわ寄せがさらに強まる恐れがある。(柚木まり)

橋本男女共同参画担当相(右)に緊急提言を手渡す「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」の白波瀬佐和子座長

 緊急提言では、新型コロナ感染拡大に関して「特に女性への影響が深刻で、『女性不況』の様相が確認される」と指摘。一斉休園・休校を今後実施する場合には、女性や子どもの立場に最大限配慮するよう要望した。ドメスティックバイオレンス(DV)や自殺防止の対策や相談体制の早急な強化、テレワークの課題を踏まえた上での柔軟な働き方の推進なども求めた。
 研究会座長を務める東京大の白波瀬佐和子教授(社会学)は、医療や介護、保育に携わるいわゆるエッセンシャルワーカーなどに女性が多く、就労状況が厳しいと橋本氏に説明した。
 総務省の労働力調査によると、4月の女性雇用者数は3月から約74万人減少し、減少数は男性の2倍以上に上った。女性の減少者数の多くは非正規雇用者。打撃を受けた飲食業などのサービス産業は、女性従事者の割合が高い。エッセンシャルワーカーも女性の処遇が厳しいとされる。コロナによる仕事量の増大や感染症対策の強化を理由に負担が増している。
 研究会メンバーで第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは「女性は非正規雇用の割合が高く、移動や接触を伴う仕事が多い。政府の対応としては実態把握や緊急の就業支援などが急務だ」と述べた。
 内閣府は5~6月、新型コロナの感染拡大前後を比較した生活満足度をインターネットで調査した。子育ての環境については、約2000人に回答を求めたところ、家族と過ごす時間が増えた女性は男性と比べ満足度がより低下した。

 警察庁によると、自殺者は男女ともに増加傾向だが、女性の急増が目立つ。10月の851人は前年同月比で約8割増にも達した。内閣府がまとめたDVの相談件数は昨年を上回るペースで、4~9月は前年同期比で約2割増だった。
 白波瀬氏は「政府だけでなく、現場の自治体や民間企業も含め、政策を緊急に打ち出してもらいたい」と訴えた。

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