発電所維持の新制度、「再エネ新電力」に負担重く 大手と格差鮮明

2020年11月20日 09時34分
 全国の発電所を支えるため電力会社が資金を出し合う新制度「容量市場」について、新電力と呼ばれる新規参入者が「大手より負担が重い」と訴えている。再生可能エネルギーを中心に扱う小規模の「再エネ新電力」には特に重荷。政府は二〇五〇年の温室効果ガス「実質ゼロ」に向けて「再エネを最大限導入する」と言いつつ、再エネ業界への逆風を吹かせている。

◆「負担額上乗せすると顧客が離れる」

 「負担額を電気料金に上乗せすると顧客が離れてしまうので、値上げはできない」。再エネ新電力「グリーンピープルズパワー(GPP)」(東京)の竹村英明社長は悩む。負担金の拠出が始まるのは二四年度から。電気料金に上乗せすると、一般家庭では月に数百円上がるという。こうした予想をするのは、GPPは家庭や商店を中心に電気を売っているためだ。
 容量市場は、一日の中で最も電力需要が高まる「ピーク時」の電力をまかなえるよう、普段は待機している発電所を含めて運営を支える制度。電力会社の負担額も、ピーク時に販売する電力量によって決まる。このため、平均的な販売電力量の少ない小規模な電力会社も、ピーク時の販売電力量が多ければ重い負担を迫られる。

◆設備持つ大手は拠出金戻り相殺

 新電力は、平均とピーク時の消費電力量の差が大きい家庭や事務所との契約を多く抱えており、売上高に占める負担額の割合が重くなりやすい。NPO法人原子力資料情報室の推計によると、全国の新電力約六百社の販売シェアは、通年では15%だが、ピーク時に限ると二割を超え、負担額の割合は21%(三千四百億円)になる可能性がある。
 逆に、大手電力の負担は軽い。二十四時間稼働する工場や大型施設との契約が多く、ピーク時以外にも稼いでいるためだ。
 また、大手は火力や水力発電、原発など大規模な発電所を多く保有。電力各社が負担した金額が自社の発電部門に入ってくるため、いったん拠出した自社の負担額を相殺できる。

◆再生エネ新電力には負担、収入ほとんどなし

 だが新電力が保有する発電所は少なく、負担額が上回る。特に、太陽光や風力中心の再エネ新電力は、新たな負担が生じる一方で収入はほとんどない。固定価格買い取り制度(FIT)で支える再エネは、新制度では収入の対象にならないことなどが理由だ。
 再エネ新電力二十数社は九月、経済産業省と環境省に「競争上不利な立場に追いやられてしまう」と制度の見直しを要請した。GPPの竹村社長は「経営難の再エネ新電力は大手系列に吸収されかねない」と危ぶむ。(妹尾聡太)

 容量市場 各電力会社の「小売」部門などから集めたお金を、各電力会社の「発電」部門に配り、発電所の維持費などに充てる制度。発電部門が発電所を4年後も維持すると約束し、その費用として年1回の入札でお金を要求する。費用の総額は、初年の2024年度で約1兆6000億円。新電力は支払い負担の重さを訴えるが、大手電力は「安定供給に必要なコストだ」と主張している。

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