【独自】東京・足立区立の保育園がまさかの運営費差し押さえ 運営継続ピンチ、園児転園も

2020年11月20日 10時07分
 東京都足立区の「区立新田三丁目なかよし保育園」の運営費が裁判所に差し押さえられ、同園が今後、運営できない恐れがあることが分かった。区が指定管理者に定めた法人内部のずさんな運営が原因。区は20、21日に保護者説明会を開き、直営化などを検討していることを伝える。(奥野斐)

運営費が差し押さえられた足立区立新田三丁目なかよし保育園=19日、東京都足立区で

◆マンション建設ラッシュ、人口急増

 同園は社会福祉法人「南流山福祉会」(本部・千葉県流山市)が、区の委託を受け、2013年の開設当初から運営。マンションの建設ラッシュで人口が急増した地域にあり、1~5歳児36人が在籍する。
 区の資料などによると、法人が別に運営する「私立流山なかよし保育園」の元園長らが、給与が未払いだとして法人側を提訴。千葉地裁松戸支部は法人側に約5000万円の賠償を求める判決を出した。
 訴訟は係争中だが、同支部は賠償を巡り、今月2日付で、新田三丁目と流山市の保育園運営費の差し押さえ命令を出した。区が20日までに法人に振り込む予定だった運営費も差し押さえの対象になり、支払えなくなったという。

◆直営や園児の転園を検討

 区は同法人に本年度、運営費計約8500万円を支払う予定で、運営費が支払われなければ保育の継続が危ぶまれる。区は指定管理を解除し、直営にすることや、園児の転園に対応することを検討している。
 法人を巡っては、区内の別の園で飲食代や交際費など不適正な支出が13~14年度に約443万円あった。今年6月にも新田三丁目の保育園で賞与の遅配があり区が指導していた。法人を所轄する千葉県も8月、不適切な支出や会計処理などを是正するよう求める改善勧告に従わなかったとして、県内初の法人名公表に踏み切っていた。
 足立区によると、保育へのクレームや問題はなく、指定管理を打ち切れなかったという。区子ども施設運営課の島田裕司課長は「保護者や子どもに申し訳ない。保育が継続できるよう対応していく」と説明した。
 南流山福祉会側は取材に「理事長は不在で連絡がつかない。理事長以外では答えられない」と話した。

◆行政は把握しながら放置、厳しく対処を

 保育に詳しいジャーナリスト小林美希みきさんの話 運営費を差し押さえられる事態は前代未聞で、極めて異例だ。背景には、運営費が弾力運用できるため現場で適切に使われず、経営陣が私的流用できてしまう構造的な問題がある。今回のケースは行政が何年も前から把握していたが、放置していたに等しい。悪質な業者には厳しく対処すべきだ。

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