わが道を行く! 個性派番組キラリ BS民放開局20年

2020年11月21日 07時32分
 在京キー局系のBS民放5局が12月1日、開局から20周年を迎える。BS民放といえば通販番組や韓国ドラマ、ゆったりとした紀行番組などがおなじみ。落ち着いてじっくり見られる報道系、先鋭的でマニアが喜ぶような凝った番組もそろう。固定ファンが多いそんなBS民放の番組の舞台裏をのぞいてみると−。 (鈴木学)

◆野球、演歌、酒場…

 2000年同日に開局したのは、いずれも無料放送のBS日テレ、BS朝日、BS‐i(現BS‐TBS)、BSジャパン(同BSテレ東)、BSフジ。
 BS民放はほかにも、地上波ではすっかり影を潜めたプロ野球中継や演歌・歌謡曲系が定着するなど、編成は地上波とは異なる。概して制作費は地上波より潤沢ではないとされるが、18年目に入った“酒場番組”の先陣、BS‐TBS「吉田類の酒場放浪記」などのように、知恵や工夫を凝らす番組も多い。
 健康食品や医薬品などのCMも多く、中高年が多く視聴しているイメージだが、最近はキャンプなどの趣味系番組など、違う世代へのアプローチもみられる。その後、無料放送ではBS11、BS12(トゥエルビ)も開局した。

◆おぎやはぎの愛車遍歴 忖度なしの「クルマ愛」トーク

忖度なしのトークが人気。出演者のおぎやはぎ(小木博明(左)と矢作兼(中))とタレントでモータージャーナリストの竹岡圭

 BS民放の一つの特徴が、趣味などに特化した番組づくり。BS日テレ「おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!」(土曜午後九時)はゲストが“クルマ愛”を振り返りながら、人生をもたどる。カーマニアを満足させる番組で、二〇一一年の開始から十年目に入った。
 菊地武プロデューサー(50)=写真=は「当初はトーク番組を企画した」というが、企画を練り込む中で「免許を取って買い、家族ができて乗り換えるなど、節目節目のブックマークになり、何となく人生を振り返るきっかけになるものが車だった」と明かす。各回のゲストの記憶を引き出すように、乗っていた当時の車を極力用意する。限られた時間に情報を詰め込む地上波番組のようにではなく、ゆったり見られるよう緩くつくっている。
 進行役のお笑いコンビ「おぎやはぎ」の忖度(そんたく)なしのトークも特徴で、「自動車関連メーカーがスポンサーでも他メーカーは扱うし、かっこ悪ければ『かっこ悪い』とはっきり言う。そこにストップはかけない」と菊地プロデューサー。
 視聴者の中心は男性の中年層。「テレビの世界は女性に支持されないと厳しいといわれるが、だからといって、車に興味なさそうでも視聴率は取れる人をゲストに呼ぶかといえば、きっと呼ばない」
 おぎやはぎの小木博明は「収録のために大切な車を貸してくれる車好きな変人(褒めてます)に会うのも楽しみの一つです」、矢作兼は「好きな人に向けた番組をつくれるところがBSのいいところですよね」と番組の魅力をコメントした。

◆LIVE プライムニュース テーマ深掘りの報道スタイル

ゲストとテーマを深掘りする反町理キャスター(右)=BSフジ提供

 近年BS民放各局は報道系番組に力を入れるようになった。その先駆けがBSフジ「LIVE プライムニュース」(月−金曜午後八時)。二〇〇九年にスタート以来、毎回一つのテーマを掘り下げるBSの報道番組の潮流を築いた。
 「制作費が地上波ほどない。ロケはお金がかかるが、スタジオに来てもらえば相手の交通費程度で済む。当事者やその事象に詳しい人に来てもらい、たっぷり生で話を聞く。そこが僕が作った企画書の原点で、ずっと変えていない」と語るのは上野修平チーフプロデューサー(64)=写真。
 放送は午後八時から二時間。ゴールデンタイム帯の生放送は画期的だった。「起きている問題について真摯(しんし)に聞く姿勢を、政財界の方や研究者が認めてくれている」。政治部出身の反町理キャスターが本音を引き出すと、相手のアップも多く映し出され、感情が見て取れる−。そんな手法が保守支持層の中高年らに響いた。反町キャスターは「絞り込んだテーマに興味を持ってチャンネルを合わせてくれる皆さまのおかげ。心掛けているのは、情緒に流されないこと、批判のための批判にならないこと、解決策を示すこと」と話す。
 好調にあやかれと、BS他局でも多種多彩な報道番組が登場した。「ライバルは増えたが、良かったと思っている。互いに切磋琢磨(せっさたくま)することで、BSの特徴や底上げにつながったから」と上野チーフプロデューサー。今後もスタイルを変えるつもりはない。局から「そろそろ変えたら」と言われたら「それは番組自体を終わらせる時」という。

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