表現の自由 守り半世紀 新宿の書店、模索舎が記念イベント

2020年11月22日 07時19分

会場入り口には過去のポスターやチラシが掲示された=いずれも武蔵野市で

 自主流通のミニコミや団体の機関紙など幅広い分野の出版物を販売する新宿区の書店「模索舎(もさくしゃ)」の創業五十周年記念イベントが二十一日、武蔵野市の武蔵野スイングホール・レインボーサロンで開かれた。創業メンバーや新旧スタッフが表現の自由を守り続けてきた半世紀の歴史を振り返り、ファンら約百四十人が熱心に耳を傾けた。 (服部展和)
 模索舎は一九七〇年十月二十八日、ベトナム反戦運動が盛んな時代にノンセクト・ラジカルと呼ばれた党派に属さない大学生らが創業した。表現の自由と流通の自由を理念に掲げ、出版取次会社を通さない自主流通本を扱うのが特徴で、原則無審査で販売している。
 イベントは二部構成。第一部は、現スタッフの榎本智至(さとし)さん(41)とOGの綿貫真木子さん(49)、編集者の南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ)さん(53)が、インターネット時代のミニコミの在り方などをテーマに意見を交わした。
 二〇〇〇年から七年働いた綿貫さんは「多様なジャンルをそろえ、世界の動きが一通り分かる」と模索舎の強みを指摘。榎本さんは、出版物や映画のイベントを開いていることに触れ、「強みをいかに発信していくかが課題で、今後も取り組んでいきたい」と話した。

模索舎の歴史を紹介する岩永正敏さん(左)と中川五郎さん

 第二部では、創業メンバーの一人の岩永正敏さん(72)とフォークシンガー中川五郎さん(71)が対談。創業の経緯や、一九七二年に小説「四畳半襖(ふすま)の下張」のコピーがわいせつ文書として警察に摘発され、表現の自由を守ろうと裁判で闘った経験などを話した。対談後、岩永さんは「昨日までやってきたことを明日もやるために、今日を生きることが大切だ。次の世代にも歴史をつないでほしい」と語った。
 この日、会場を訪れた文京区の浜口珠子(たまこ)さん(62)は中学時代から模索舎に通っているといい、「いろんな世界に導いてくれる入り口で、五十年続いていることが奇跡」と話していた。

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