新型コロナは同人誌活動にも暗い影…約半数が「創作意欲が減退」 コミケなど即売会中止が影響

2020年11月22日 17時00分

大勢の出展者と来場者でにぎわう2017年冬のコミックマーケット=東京ビッグサイトで

 新型コロナウイルスの感染拡大で「コミックマーケット」(コミケ)など全国各地の同人誌即売会が中止や延期となる中、東京都府中市の同人誌印刷会社「緑陽社」は22日、全国の同人誌作家を対象としたコロナ禍の活動の実態調査の結果を公表した。 (北條香子)

◆コンテンツ産業全体への影響懸念も

 同人誌活動を経て漫画やアニメ、ゲームなどの業界に進む若者も多い。コロナ禍で即売会などイベントが中止になることで作家の創作意欲が減退するなど、日本のコンテンツ産業全体への影響が懸念されている。
 緑陽社は「作家の生の声を聞きたい」との思いから8月25日~9月30日、インターネット上でアンケートを実施。同社の利用実績は問わず、ツイッターで広く協力を募り、計約2800人から回答が寄せられた。

◆7割が新刊発行ペース「減った」

 コロナ流行以降の新刊発行ペースを尋ねた質問では、39・5%が「とても減った」、29・1%が「減った」と回答し、全体のおよそ7割で発行ペースが落ち込んだ結果に。年内の即売会などイベントへの直接参加については「ある」が37・4%、「ない」が43・3%となった。
 創作意欲については35・3%が「変わらない」と答えた一方で、31・2%が「減った」、18・9%が「とても減った」と答え、約半数が創作意欲の減退を明かした。
 世界最大級の同人誌即売会として知られるコミケも5月の98回が中止になり、12月に予定されていた99回は来年5月への延期が決まった。イベントの中止、延期が相次いでいることには「寂しい」「残念」といった言葉が多く寄せられたほか、「生きがいが失われている」といった意見もあった。一方で「(家族やサークル仲間らに)感染する機会を与えてはいけないと不安に思っていたので、中止になって良かった」という声も。

◆「業界を衰退させないエネルギー感じる」

 緑陽社の武川優代表(67)は「コロナ禍で同人活動を引退してしまう作家も少なくないのではと心配していたが、直近のイベントには人出も戻りつつあり、アンケート実施時点よりも明るい兆しが見えてきている」と話す。同人誌即売会「コミティア」実行委員会が今秋実施したクラウドファンディングには、目標額3000万円を大幅に上回る約1億4800万円の支援が寄せられた。武川代表は「同人誌業界を衰退させてはいけないというエネルギーを感じる。うちも大幅な減収だが、頑張ってこの局面を乗り切りたい」と力を込めた。
 調査結果は同社ホームページで公表している。

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