停滞する学術会議問題 発覚から1カ月半、政府の回答先送り続く

2020年11月22日 19時55分
 日本学術会議の新会員任命拒否問題が膠着こうちゃく状態に陥っている。菅義偉首相が6人の任命拒否を撤回せず、学術会議が改めて候補者を選考、推薦する手続きも定められていないためだ。双方の主張は平行線で事態打開の糸口は見えず、欠員が長期化する恐れもある。
 問題が発覚した直後の10月2日、学術会議は首相に宛てて、任命拒否の理由の説明と6人の速やかな任命を求める要望書を提出した。だが政府は1カ月半余が過ぎても、明確な理由を示さず、回答を先送りし続けている。
 加藤勝信官房長官は今月19日の記者会見で、首相や井上信治科学技術担当相が学術会議の梶田隆章会長と面会を重ねていると指摘。「コミュニケーションを図っていく中で要望書への対応も検討していきたい」と話すにとどめた。
 政府は今回の人事について、既に手続きは完了していると説明。欠員を埋めるには学術会議がもう一度、会員候補を推薦する必要があるという立場で、自ら問題解決に動く気配はない。その上、政府・自民党は、学術会議の民営化も視野に組織のあり方の検証を始めるなど、論点をずらして圧力を強めている。
 一方の学術会議は、首相による任命拒否という事態を想定しておらず、補充人事は現職会員が「定年、死亡、辞職または免職により退任する場合」に選考するとのルールがあるだけ。現状では身動きできないのが実情だ。
 学術会議が任命拒否の撤回を求めるのは、憲法に明記された「学問の自由」への侵害に懸念が広がっていることに加え、分野横断で政策提言に取り組むという本来の役割が果たせなくなるとの危惧があるからだ。
 梶田氏は、任命拒否されている6人がいずれも人文・社会科学系を専門とする第1部に所属する予定だったことから「活動に著しい制約となっている」と強調。引き続き6人を拒否した理由の説明と速やかな任命を求めていく考えだ。(木谷孝洋)

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