「警察官は撮っちゃダメ!」 自由の国のびっくり法案に民衆が猛抗議

2020年11月22日 22時33分

21日、パリで警察官の撮影を禁止する法案への抗議デモに集結した人たち=谷悠己撮影

 【パリ=谷悠己】フランスの国会で審議中の警察官らの撮影を禁じる法案が波紋を広げている。報道機関や人権団体が「日ごろ『表現の自由』の擁護を主張している国がその自由を制限するのか」と猛反発。21日には20以上の都市で抗議デモがあった。
 パリのデモには7000人が集結。報道機関の労働組合幹部が「記者もユーチューバーも誰もが発信する権利を脅かされている。こんな法案を許していいのか」と呼び掛けると、聴衆は「自由を、自由を」と叫び返した。AFP通信によると、各地で計2万2000人が抗議の声を上げた。
 法案には「活動中の警察官や憲兵隊の顔や身体を悪意を持って撮影し拡散すること」を禁じ、違反者には最大で禁錮1年と4万5000ユーロ(約550万円)の罰金が科される条項が盛り込まれている。与党による議員立法だが右派や極右の野党も賛同している。
 背景には、デモ隊や郊外の若者らが治安部隊と衝突する動画が会員制交流サイト(SNS)で拡散されて反感を呼び、警察官らが暴行の標的となってきた実態がある。仏紙フィガロによると、昨年に暴行を受け負傷した警察官らは7400人で、この15年間で倍増したという。
 逆に、動画によって市民への暴力が明るみに出た警察官が立件されたケースも多い。与党は「報道の自由は保障される」と主張しているが「悪意」の定義はあいまいで、新聞各紙も論説で懸念を示している。
 マクロン大統領は風刺週刊紙シャルリエブドに対するテロ事件などで「表現の自由はフランスの根幹だ」と繰り返してきた。仏全国ジャーナリスト労働組合のドミニク・プラダリエ事務局長は電話取材に「法案が通るならばこの国の表現の自由の危機だ」と憤った。

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