本業はトレーナー、テレビ局関連、美容師…「Uber配達員の聖地」で何を思う?

2020年11月23日 06時00分

注文品を専用バッグに入れるウーバーイーツの35歳の配達員。「稼げるうちに稼いでおきたい」

「ウーバー配達員の聖地」といわれる東京・三軒茶屋。コロナ禍の仕事の現状について何を思いながら働いているのか、配達員たちに聞いた。
 ジムのトレーナー、テレビ局関連、美容師…。配達員の多くは、コロナ禍で収入が減ったり仕事を失ったりした人たちだ。
 「半年以上も仕事がなく、持続化給付金でしのいできたが家計の足しに始めた」。キャップの下から白髪がのぞく50代男性はテレビ局の下請け技術者が本業。「体が動くうちは月に数万円でも稼ぎたい」と若者に交じって奮闘する。
 美容師の30代男性は「本業の空き時間が多くなり、そこを利用して働けるので助かる。人間関係にも苦労しない」。手軽に働けるため、配達員の中には外国人も。中国からの女子留学生は「まだ日本語が不自由だけど、友人に電話で聞きながらできる」という。
 一方、個人事業主ならではの危険も。元派遣社員の50代男性は昨夏、配達中の事故で腕を骨折した。ウーバーイーツが独自の補償制度を始める前だったので「補償もなく、1カ月間、収入がない上に治療費で約30万円の持ち出しとなった」。以来、常に転職を考えているという。
 労災保険や雇用保険、最低賃金など労働法規による保護がなく、一方的な報酬の引き下げにも団体交渉権は確立されていない。それでも配達員の中には、自分たちへの保護策が強まれば、ウーバーなどの側も最低労働時間を設けるといった制約を強め、自由に働けなくなるという意見もある。
 労働問題に詳しい川上資人弁護士は「例えば、収入の最低保証を求めるかを巡っても働き手の中で意見が割れる。働く人任せの議論では日本は世界に取り残される」として法整備の必要性を主張する。(久原穏)

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