バイデン氏の勝利はトランプ氏支持の白人男性層の離反が決め手に

2020年11月23日 06時00分
 米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領(78)が共和党のトランプ大統領(74)に獲得選挙人数で306人対232人と、70人以上の差をつけ勝利した。勝敗を分けた要因は何なのか。出口調査から見えてきたのは、4年前にトランプ氏を圧倒的に支持した層の一部の離反だった。(ワシントン・金杉貴雄)
◆大差を縮小
 「民主党は、白人男性の支持を共和党から取り戻した」。選挙と世論調査に詳しいハーバード大のステベン・アンソラバヘル教授(政治学)は今回の大統領選で指摘した。
 CNNテレビや3大ネットワーク、ニューヨーク・タイムズ紙などが使用する出口調査によると、バイデン氏が奪い取ったのは、トランプ氏が再選のため徹底して支持固めを続けてきたはずの白人、中でも白人男性の票だった。
 白人票は全体の7割近い。前回大統領選で民主党のヒラリー・クリントン氏はトランプ氏に白人男性票で31ポイントも大差をつけられたが、バイデン氏はこれを8ポイント縮小。大卒の白人男性では11ポイント、前回トランプ氏勝利の原動力となった白人労働者にあたる非大卒の白人男性でも6ポイントを取り戻した。
 さらに顕著な傾向がみられたのが、中間所得層での逆転だ。年収が約520万円~約1000万円の投票者では、4年前にトランプ氏が3ポイントリードしたが、今回、バイデン氏は逆に15ポイントのリードを奪い、差し引き18ポイントの違いを生んだ。
 アンソラバヘル氏は「中間層は新型コロナウイルスで経済的に大きな影響を受けた。コロナによる失業率が上昇した地域ほどバイデン氏への支持が高かった」と、新型コロナが勝敗に決定的な影響を与えたと指摘した。
 ◆郊外で逆転
 トランプ氏の痛手はほかにもある。全投票者の中で51%を占める郊外での支持低下だ。4年前は4ポイントリードしていたが、今回はバイデン氏に2ポイントリードされ、差し引き6ポイントを失った。
 ブルッキングス研究所のウィリアム・フレイ上級研究員は「トランプ氏が重要な激戦州を落としたのは、大都市圏の郊外で支持を奪われたことが大きな要因となった」と分析している。
 「岩盤」支持層も一部離反した兆候がある。軍経験者では4年前の26ポイントリードが10ポイントに減少。全人口の25%を占めるキリスト教右派福音派では、64ポイント差から52ポイント差に縮小した。
◆判事の任命が裏目に出た?
 州によって状況が異なったのは中南米系の動向だ。メキシコ系などが多い西部アリゾナ州では民主党支持が多く、中南米系の人口増が民主党にとって24年ぶりの奪還につながった。
 南部フロリダ州では同じ中南米系でも左派政権から逃れてきたキューバ系が多く、キューバに強硬姿勢をとるトランプ氏への支持は上がった。バイデン氏は前回より20ポイントもリードを減らし、トランプ氏が勝利した。
 一方、トランプ氏が支持層へのアピールを狙い10月に強行した連邦最高裁判事の任命の効果は、出口調査では複雑な結果だった。
 判事任命が「投票を決める上で重要な要素だった」との答えは全体の60%を占めた。だが、この中でトランプ氏に投票した人は48%だったのに対し、バイデン氏への投票は52%で4ポイント上回った。強行策はリベラル派の怒りを買い、選挙では裏目に出た可能性がある。

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