<かながわ未来人>元町から新しい感覚を すし店兼ねた画廊の店主・田口竜太郎(たぐち・りゅうたろう)さん(43)

2020年11月23日 07時34分
 「すし屋やギャラリーは入りづらいイメージがある。そのイメージを変えたかった」。すしスタンドを備えた画廊「Gallery(ギャラリー)+Sushi(スシ)三郎寿司(ずし)あまね」を横浜・元町で経営。アーティストの個性が光る空間で、作務衣(さむえ)姿で自ら握ったすしを客に振る舞う。
 出展者の絵画やオブジェが展示された店内の一角に、バーのようなカウンターがあり、すしを気軽に味わうことができる。画廊ですしを食べるという珍しい光景に、通りを歩く人も思わず足を止めて、ショーウインドーをのぞき込む。
 画廊では若手や新進気鋭の作家を起用し、年間十五〜二十回ほどの個展などを企画。多くが横浜にゆかりのある作家だ。フードメニューでは、いなりずしとかんぴょう巻きが入った「助六ずし」は老若男女に人気。ほかにもアナゴやタイの押しずしなどがあり、テークアウトもできる。
 店から歩いて一分ほどの距離にあるすし店「三郎寿司」の二代目。だが、すし店を継ぐつもりはさらさらなかったという。高校卒業後は都内の建築の専門学校に通い、不動産会社などで働いた。三十歳を過ぎたころ、すし職人である父親の仕事を格好良いと思えるようになり、自らも志した。
 東京・築地で仲買人として働き、目利きの腕を養うとともに、父親からすしの握り方を学んだ。すると知人からの声掛けで、洋服の展示会などに呼ばれ、会場ですしを握るようになった。「すしなら、臭いが作品につかないし、煙も出ない。共存できると思った」。アートとすしが融合した画廊の発想が浮かんだ。
 開店した当初は、作品が売れず苦労した。開店から二年がたち、常連客もつき、絵画が売れるようになったところに、今度は新型コロナウイルス感染拡大が起きた。画廊でも五月から二カ月間、予定した展示の中止を余儀なくされた。
 ほかの美術館や画廊も休業。発表の場を失った作家たちに、コロナ禍でも活動できる場を作ろうと、インターネットで作品を紹介する「オンラインギャラリー」を企画。開設資金をクラウドファンディングで募ると、目標額の二百万円を超える支援が集まった。
 「オンラインをきっかけに店に来てくれる人もいた。もともと人を応援するのが好き。自分が生まれ育った元町から新しい感覚を発信していきたい」 (土屋晴康)
<「Gallery+Sushi三郎寿司(ずし)あまね」> 2018年4月に開店。現在は流木を用いた作品を手掛けるエティエンヌ・タナカさんと美術家の日下部泰生さんによる合同展「自然美」を開催中。12月6日まで。営業時間は正午〜午後8時(日曜、祝日は同7時)。月曜(祝日の場合は翌日)休み。横浜市中区元町1の37の4てるのビル1階。電話での問い合わせは=045(298)3749=へ。

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