<東海第二原発 再考再稼働>(19)古い機械 動かすの危険 彫刻家小張佐恵子さん(68)

2020年11月24日 21時40分
 日本原子力発電東海第二原発(東海村)を動かしてはいけない最大の理由は、「古い」から。私は彫刻家だから、金属の材料や加工について勉強している。運転開始から四十年もたった機械がまともなはずはないことが、実感として分かる。四十年前の車に乗ります? 乗らないでしょ。東海第二は高温で放射線を浴び続けて、しかも(3・11で被災した)事故物件。それを動かそうというのは、正気の沙汰ではない。
 学生時代、金属の溶接で苦労した経験がある。東海第二は何万カ所も溶接部があり、地震で揺れてどこにクラック(亀裂やひび割れ)が入っているかも分からない。それをまた高温にして放射線にさらすなんて、絶対にあり得ない。「地震が来るから危ない」と言われるが、違う。地震が来なくても危ない。
 さらに言えば、チェルノブイリもジェー・シー・オー(JCO)も福島第一原発も、原子力事故はみんなヒューマンエラー(人為的過誤)で起きている。しかし政府や東京電力は、福島の事故を巨大な地震・津波のせいにして、「人災」ではないという印象に持っていこうとしている。
 近年も、日本原子力研究開発機構の県内の原子力施設で、核燃料物質を保存しているビニールバッグが破れる事故があった。プラスチックが劣化するという初歩的な知識すらなく、作業員にも被ばくを避ける教育がされていなかった。危機管理能力がなさすぎる。
 あれは小さい現場だったからまだいいが、原発で何か起きたらと思うと怖くて寝ていられない。東海第二を再稼働したら絶対に事故になるという、確信めいた恐れを感じている。
 東海第二の再稼働阻止という目的を共有する県内の市民団体を結集する枠組みとして、「いばらき未来会議」を立ち上げた。今月十五日、発足記念集会を水戸市で開いた。
 約八万七千筆の署名を受けて県議会に提出された「東海第二原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案」は、六月定例会で否決されてしまった。署名集めに協力した各地の団体をネットワーク化して、情報共有や相互支援を進めようというのが狙いだ。
 併せて、再稼働に当たって事前同意を求められる周辺六市村などの首長や議員には、反対の声を上げる庶民がこれだけいるんだというプレッシャーを掛けていく。再稼働反対の首長や議員を増やすため、国政選挙や地方選挙にも積極的に関わっていきたい。(聞き手・宮尾幹成)
<おばり・さえこ> 1952年、東京都豊島区生まれ。日本大芸術学部卒、彫刻家。9月に設立された「いばらき未来会議」の中心メンバー。福島第一原発事故で避難した子どもたちをキャンプやバーベキューに招待するなどして支援する「福島応援プロジェクト茨城」の事務局長。土浦市在住。

関連キーワード

PR情報

茨城の新着

記事一覧