「死を思いとどまって」死亡事故相次いだ千葉県四街道市の踏切周辺に地域住民が花植え…雰囲気明るく

2020年11月24日 11時45分

踏切周辺の雰囲気を明るくしようと地元住民らが植えた花=いずれも千葉県四街道市で

 「死を考えている人に、何とか思いとどまってほしい」―。千葉県四街道よつかいどう市のJR総武線の同じ踏切で9月と11月、死亡事故が起きた。9月の事故を受け、地域住民が「明るい雰囲気に」と今月初めから踏切周辺に花を植える活動を始めたが、直後に2件目が発生。住民らはやりきれない思いを抱えながらも、再発防止を願い、花を植え続ける。 (鈴木みのり)
 県警やJR東日本千葉支社によると、この踏切はJR総武線四街道―都賀つが駅間の警報機、遮断機がある踏切で、9月29日と今月9日に死亡事故があった。2件とも詳しい原因は不明だが、近くに住む学童保育指導員、清水清子さん(70)は「踏切周辺は草が伸びきり、ペットボトルなどのごみが放置されていて、暗い雰囲気だった」と話す。
 「気持ちが沈んで、もう、踏切を通れない」。9月の事故後、近所の人が清水さんに打ち明けた。事故が自殺によるものだったとしたら、防ぐために何かできないか―。清水さんはそう考えた。
 清水さんは特別支援学校で約30年、教員をしていた。「生きたい」と願いながらも病気で亡くなる子どもを何人も見てきた経験から、命の貴さを身に染みて感じた。自身の長女(37)も高校時代に自殺願望に駆られ、睡眠薬や刃物の転がった部屋の光景が今も忘れられない。
 「踏切の周りに花を植えれば、雰囲気が明るくなって思いとどまってくれるのでは」。「花いっぱいプロジェクト」と名付けて今回の活動を企画し、近所の知り合いに呼び掛け、今月6日に初めて活動した。住民7人でごみ拾いをして、踏切脇に4本の花を植えた。
 だが3日後、再び事故が起きた。「何で起きてしまったのか」。清水さんもやるせなさを感じたが、「もっと活動を広げなければ」と花を植え続けることを決めた。

第2回活動に参加し花を植える子どもら

 14日に第2回を行うと、生花店や近所の人からの協力で、前回よりも多い約70鉢が集まった。住民9人で石ころや雑草で覆われた踏切周辺を整備し、4カ所に分かれて植えた。「1人じゃないよ」という思いを込め、3鉢ずつを寄り添うように植えた場所も。開始から約1時間後、踏切周辺は青、ピンク、黄色などの花で彩られた。
 母親と姉と参加した市内の小学3年生、町野伸幸君(8つ)は「自殺はしないでほしい」との思いを込めた。別の参加者の女性は「亡くなった方へのお悔やみも伝わればと思って来た。『花が植えられたな』と気付いてもらえるだけでうれしい」と話した。
 清水さんは願う。「人間に生まれることはすごいこと。まだ小さな一歩だけど、支え合いの動きがもっと広がってほしい」
 今後は毎月第2、4土曜日に活動し、水やりや草取りは近所の住民で分担する。周辺の空き地の草取りやごみ拾いなども行っていくという。

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