移住促進へ条件緩和 空き家とセットで農地取得1アールから 群馬・安中、富岡、桐生市

2020年11月25日 07時29分

購入した農地付き空き家と本間さん夫妻=安中市松井田町で

 農地付きの空き家に移住者を呼び込もうと、空き家に付く農地の取得条件を緩和する動きが県内で相次いでいる。趣味で農業を楽しみたい人や自然豊かな暮らしを希望する都市部の住民にアピールし、空き家や遊休農地の解消、中山間地域の過疎対策につなげる狙い。新型コロナウイルスの影響で地方への関心が高まる中、安中、富岡、桐生市で今年、農地を取得する際の面積の下限を引き下げた。検討を進める自治体もある。 (石井宏昌)
 「広くて自然に囲まれて。いいなって思いました」。碓氷峠麓の安中市松井田町にある民家の前で、埼玉県草加市の自営業本間昭吉さん(58)が笑顔で話す。安中市空き家バンクに登録された農地付き空き家を八月に購入した。
 大地震への不安などから移住できる物件を探していたが「コロナもあって決めた。妻に基礎疾患があってリスクが高いので」と明かす。年内に転居し、埼玉県で事業を続けつつ、群馬でも仕事を探す考えだ。
 妻の晴美さん(56)は「本格的な農業経験はないけれど家庭菜園などは好き。楽しみです」とほほ笑んだ。
 農地取得には農業委員会の許可が必要で、農地法では農地面積が原則五十アール(五千平方メートル)以上でないと売買できず、ハードルが高かった。二〇〇九年の同法改正で農業委の判断で下限引き下げが可能になり、その後、地域再生法の一部改正で農地付き空き家の面積要件が緩和された。
 安中市は下限が三十アールだが、市の空き家バンクに登録された空き家とセットの場合は農地を一アールから売買・貸借できるようにした。市は「家庭菜園程度からでも、きちんと耕作してもらえればいい」と期待する。
 富岡市や桐生市は九月から同様の取り組みを施行。富岡市は農地取得の下限十アールを、桐生市は同三十アール(新里地区は五十アール)をともに空き家バンク登録の物件で一アールに引き下げた。
 本間さんに物件を紹介した不動産会社の代表は「将来の地方移住を考えていた人が、コロナの影響で早めに行動に移していると感じる。そうしたニーズには魅力的と思う」と話す。
 だが要件緩和後、安中市の空き家バンクに登録された該当物件は七件で、うち一件は空き家のみに変更。農地とセットでの売買成立は一件だけだ。富岡市は登録二件、桐生市は指定申請中が一件で、ともに契約成立はなく、問い合わせも少ないのが現状だ。農業委関係者は「制度の周知不足がある。より周知を図っていきたい」としている。

関連キーワード

PR情報

群馬の新着

記事一覧