【動画あり】「私は野生の虎!」セクハラ男は肘鉄で撃退 エジプト政府と国連主導で進む意識改革

2020年11月25日 17時00分
 中東各地で横行するセクシュアルハラスメント。特に公共の場での声掛けや痴漢が多く、被害に遭っても言い出せない女性も多い。「セクハラ大国」ともいわれるエジプトでこのほど、女性を対象にしたセクハラ撃退訓練が始まった。セクハラ横行の背景には男性優位の社会性も影響し、社会に根付くこうした意識の改革も目指す。 (カイロ・蜘手美鶴、写真も)

◆男性優位で被害を言い出せない…「悪いのはあなたじゃない」

10月下旬、カイロ近郊でセクハラ撃退訓練に参加する女性たち

 「自分を野生の虎だと思うんだ!」。10月下旬、カイロ近郊の集会場に男性講師の声が響いた。約20人の女性が学ぶのはキックボクシングを基にした撃退術。パンチやキックを繰り出し、背後から襲われた場合、集団に囲まれた場合などを想定した訓練が続いた。
 エジプト全27県で10月下旬から始まった撃退訓練は、政府と国連が主導する。座学と実技が計5日間行われる。最初の1カ月で1000人超が参加し、今後さらに規模を拡大するという。大学生のジナさん(18)は「身の守り方を学び、夜道を歩く恐怖が減った」と話す。
 中東でセクハラ被害が多い背景には、男性優位の社会性も影響する。女性の人権が軽んじられる風潮があり、女性が被害を言い出せなかったり、隠したりするケースも多い。
 今回の取り組みでは女性に意識改革も促す。国連職員が座学を担当し、女性には身を守る権利があることや、被害女性側には落ち度がないことなども教えている。参加した大学生のレバブ・アブデラーさん(20)は「セクハラに遭っても悪いのは私ではなく相手。気持ち的に強くなれた」と話す。

◆座席の隙間から触られる…ナンパもセクハラ

 訓練を主導するエジプト青年・スポーツ省のマナル・ガマール博士は「男性優位の社会性がセクハラを助長していた側面は否めない。撲滅するにはこの考えも正さないといけない」と指摘。男性に対しては、小学校教育から女性の権利についてきちんと教えていく必要があるとした。
 中東の中でもエジプトは特にセクハラ被害が多い。調査機関「アラブ・バロメーター」が2019年に中東・北アフリカ12カ国で実施した調査では、「過去1年間に公共の場でセクハラ被害を受けた」と回答した女性はエジプトが63%と最多。モロッコの55%、スーダンの50%と続く。
 地下鉄やバスでの体の密着のほか、主要交通手段のミニバン内では座席の隙間から後部座席の人物が触ってくる被害も多発。敬虔けいけんなイスラム教徒が多い国では、ナンパなどの声掛けもセクハラに該当する。

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