一橋大生の同性愛暴露訴訟 裁判長「アウティングは許されない行為」 遺族の請求は棄却 東京高裁

2020年11月25日 22時39分

東京高裁などが入る裁判所合同庁舎

 同性愛者であることを同級生に暴露(アウティング)され、一橋大(東京都国立市)の校舎から転落死した同大法科大学院の男子学生=当時(25)=の両親が、適切な対応を取らなかったとして大学に計約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、東京高裁で言い渡された。村上正敏裁判長はアウティングを「人格権ないしプライバシー権などを著しく侵害する許されない行為」としたうえで、大学側の責任は認めず、一審の東京地裁に続き請求を棄却した。
 原告代理人によると、アウティングの違法性に言及した判決は初めてとみられる。原告側は上告せず、判決が確定する見通し。
 判決では、男子学生は2015年6月、同級生からLINE(ライン)のグループで実名を挙げて同性愛者だと投稿され、その後、体調が悪化。大学の教授やハラスメント相談室の相談員らに相談したが、大学はクラス替えなどをせず、同年8月に校舎から転落死した。
 判決は、同級生によるアウティングは大学側の責任ではなく、教授らの対応についても「安全配慮義務の違反があったとは言えない」とした。
 判決を受け、一橋大は「亡くなられた学生のご冥福をお祈りし、遺族の方々に弔意を表します。引き続き、学内におけるマイノリティーの方々の権利の啓発と保護に努めます」とのコメントを出した。
◆ハラスメント対策に詳しい独立行政法人労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員の話
 今年6月に施行されたパワハラ防止法では、アウティングもパワハラになり得るとして、事業主に予防・対応義務が課され、ハラスメントをしてはならないと明記された。今回の判決で、アウティングを「許されない行為」と裁判長が述べたのは、あらゆる場面で認められないという、世の中の方向性を示したものと受け止められる。
 文部科学省も、各大学に向けて職員だけでなく、学生が受けるハラスメントの防止などに積極的に取り組むよう通知を出している。今後、アウティングについての啓発や相談があった時の事実確認、被害者保護を行うことがより強く求められるだろう。

アウティング 好きになる相手の性別「性的指向」や、自分の認識する性別「性自認」を、本人の了解なく第三者に暴露すること。一橋大法科大学院生の転落死で社会問題化した。国立市の条例は罰則規定はないが「本人の意に反して、公にしてはならない」と定めた。今年6月施行の女性活躍・ハラスメント規制法の指針でも、パワハラの一類型に規定されている。

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