<プロに聞く くらしとお金の相談室>子どもの歯科矯正 控除に?

2020年11月26日 07時33分

<Q>子どもの歯科矯正 控除に?

 小学生の子どもが今年、かみ合わせを良くするために歯科矯正をして、約40万円の治療費がかかりました。確定申告をすると、医療費が戻ってくるそうですが、歯科矯正は対象になるのでしょうか。手続きの仕方も分かりません。(東海地方在住、40代会社員男性)

<A>治療の範囲内なら還付 税理士・藤村伸介さん

 1年間に自分や家族のために一定の金額以上の医療費を支払うと、所得税の医療費控除を受けられ、既に払った税金から安くなった分が戻ってきます。ただ、医療費と言っても対象になるもの、ならないものがあり、注意が必要です。
 対象となるのは原則、治療のための費用。病気やけがで医師の診療を受けたり、風邪薬などを購入したりした場合です。美容目的ではない歯科矯正は「成長や健康を阻害しないための治療」と認められるので、相談者の場合は対象になりそうです。
 一方、予防接種や人間ドック、ウイルス感染対策としてのマスクや消毒液の購入など、予防や健康増進のための費用は対象外。ただ、人間ドックで病気が見つかって治療に至った場合は、その人間ドックの費用も対象になります。
 医療費控除の仕組みは、まず所得税の計算方法を知ると理解しやすいでしょう。個人事業者は売り上げから経費を差し引いて所得を計算します。給与所得者は一定額の「給与所得控除」を経費に相当するものとして給与から差し引いて所得とします。さらに所得から、さまざまな「所得控除」を差し引いた額を「課税所得」と呼び、課税所得に税率を掛けるなどして所得税額が決まります。
 所得控除の一つが医療費控除で、ほかに社会保険料控除や生命保険料控除、配偶者控除、基礎控除などがあります。所得控除の額が大きいほど、所得税額の計算の基となる課税所得が小さくなるので、税金が安くなる、というわけです。
 ちなみに、住宅ローン残高の1%が控除される住宅ローン控除などのように、所得税額から直接差し引く控除は「税額控除」と言います。
 医療費控除の額は、1〜12月に支払った医療費の総額から、保険金などで補填(ほてん)される額と、10万円(所得200万円未満の場合は所得の5%)を差し引いた額。この額がマイナスなら控除はありません。最大で200万円まで控除が受けられ、住民税も安くなります。
 会社員の場合、生命保険料控除などであれば会社が年末調整で処理してくれますが、医療費控除などは年末調整では対応できないため、確定申告が必要。医療機関名や支払った額などを税務署に申告します。領収書の添付は不要ですが、5年間の保管が義務付けられているので、なくさないように気を付けましょう。
<ふじむら・しんすけ> 1958年、岐阜県金山町(現下呂市)出身。高校卒業後、名古屋国税局に採用され、個人事業者を対象とした所得税、消費税の税務調査に関する業務を主に担当。昨年7月に退職し、同9月に税理士登録した。コーディアル税理士法人(名古屋市中区)所属。

◆<詳しく>申請手続き 年始からOK

 確定申告の受け付けは例年2月中旬〜3月中旬だが、医療費控除などの還付申告は年明けから各税務署で手続きすることができる。申告期限は5年。郵送でも手続きが可能だ。
 確定申告の会場は例年混雑し、特に来年は新型コロナウイルス対策で収容人数が制限される可能性もある。国税庁は、インターネットを使って自宅などから申告できる電子申告(イータックス)の活用を推奨。国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで申告書を作成し、スマートフォンやICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取って提出する。カードは市区町村に申請してから交付されるまで約1カ月かかるため、早めに準備したい。
 マイナンバーカードの代わりに、専用のIDとパスワードでも提出できる。ただ、事前に本人確認書類を最寄りの税務署に持参し、IDなどを取得する必要がある。 (河郷丈史、豊田直也)

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