<座間事件裁判>白石被告が語った動機「金にならなければ…生きて帰さないと決めていた」

2020年11月27日 10時50分
 神奈川県座間市で2017年に男女9人が殺害された事件の裁判員裁判で、死刑を求刑された白石隆浩被告(30)は計23回の公判で、検察側の主張に沿い事件の詳細を能弁に語った。一方、弁護団は被害者に殺害の同意があったとする承諾殺人罪の適用を主張。被告の法廷供述を「信用できない」と否定する異例の展開となったが、被告は人ごとのような態度に終始し、真摯な反省の弁はついに聞かれなかった。(沢田千秋、林朋実)

◆「殺害承諾」めぐり被告と弁護団対立

 最大の争点であり、被告と弁護団との対立の根本が、被害者が殺害を承諾していたかどうかだ。
 検察側は被害者の通信記録などを基に、彼らの「生きる意思」を示し、白石被告も「殺害の同意をとったり、依頼されたことはなかった」と明言した。だが、弁護団は「被害者は被告の手で死の実現が行われることを想定していた」と被告と異なる主張をした。
 被告の法廷での供述をめぐり、検察側が「一貫性があり詳細で信用できる」とする一方、弁護団は「変遷があり信用できない」とするねじれが生じた。
 このため、白石被告がいらだち「はっきり言うが、起訴内容は事実だ」と弁護団に突きつける場面も。「起訴内容を争わず簡潔に(裁判を)終わらせてくれるというので選任した。(弁護団に)裏切られ根に持っている」と不満も述べた。

◆解体現場を目撃の女性も

 白石被告が語った殺害動機は単純だった。恋愛関係に近かった最初の被害者については「他の男の影があったから」と説明。この被害者の知人だった男性被害者は「口封じ目的で殺害した」という。ほかの7人は「金になるなら付き合う。金にならなければレイプする。証拠隠滅のため、レイプしたら生きて帰さないと決めていた」と述べた。
 一方、公判では、4人目の被害者の遺体解体現場を目撃した女性の存在も明らかになった。ツイッターで出会い、数日間、同居していたこの女性を、白石被告は「身なりや雰囲気で収入がある」と判断して殺さず、「しっかり口説けていた」ため、警察に通報しない自信もあったという。

◆「おやつの誘惑に勝てなかった」

 白石被告は法廷で「後悔はない」と繰り返した。逮捕されて以降、「健康のため」に筋肉トレーニングに専念。拘置所でのおやつを買う金を得るため、報道関係者の面会に応じていたとし、検察官が「その記事で遺族が心を痛める」と責めると、「おやつの誘惑に勝てなかった」と答えた。
 最初の被害者や子どもがいた被害者ら殺害した4人に対しては、最後の被告人質問で「本当に申し訳ございませんでした」と口にした。しかし、残る5人の被害者は「会ってすぐに殺害したため印象が薄い」などと、謝罪を拒否した。一方で、自らの家族には「迷惑をかけて申し訳ない。自分の存在を忘れて生活してほしい」と愛情を表現した。

◆「何の反省もしていないようだった」

 最後の被告人質問で「懲役でも極刑でもいい」と投げやりな態度を見せた被告。26日に意見陳述した被害者遺族は「殺害状況を淡々と話す被告の声は、何の反省もしていないようだった。こんなことを聞いているぐらいなら、すぐにでも被告を殺したいと思った」と怒りをあらわにした。

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