コーヒーかす、生かす! 蔵前で再利用プロジェクト 鶏ふん「ブレンド」園芸肥料に

2020年11月27日 07時14分

蔵前のパン店「T’s Bakery」でコーヒーかすを回収する、たいとう第三福祉作業所の児玉龍太さん(中)と浜本純寿さん

 隅田川沿いの蔵前地区(台東区)は、カフェや焙煎(ばいせん)店が集まるコーヒーの街。ここで、コーヒーの抽出かすや未成熟の欠点豆など「コーヒーごみ」を回収して有機肥料に再利用するプロジェクトが始まっている。障害者も回収に参加し、地域を挙げてリサイクルに取り組んでいる。

「カクウチカフェフタバ」のコーヒー

 「ありがとうございます」。今月十九日午後、コーヒーと日本酒を販売する「カクウチカフェフタバ」。「たいとう第三福祉作業所」(元浅草)で働く児玉龍太さん(28)は、店主の関明泰さん(42)からバケツを受け取り、元気にお礼を伝えた。バケツには、一週間分の抽出かす約五リットルが入っていた。
 抽出かすはかびが生えやすく処理に気を使うという関さんは「かすが肥料になって土に返るというのは環境にメリットがある」とプロジェクトに参加した理由を語る。
 この日は、フタバから徒歩五分のパン店「T’s Bakery」でもかすを回収した。
 先月末から回収を始め、月、水、金曜日に、福祉作業所の利用者四〜五人が毎回二〜三店を回る。
 プロジェクトは、蔵前にあるコーヒー豆店「焙煎処(どころ) 縁の木」を運営する白羽(しらは)玲子さん(49)らが始めた。
 蔵前のカフェや焙煎店から出る抽出かすや欠点豆の回収を第三福祉作業所に依頼。乾燥させた後、畜産機械器具メーカー「四国ケージ」(愛媛県四国中央市)に送る。同社でコーヒーかすと鶏ふんを混合して、園芸肥料「+Coffee」を製造する。

コーヒーを入れる蔵前「カクウチカフェフタバ」の関明泰さん

 蔵前は江戸時代、幕府に納める年貢米の倉庫が並んでいた。戦後は大手メーカーの下請けの町工場が並ぶものづくりの街だった。二〇〇四年ごろから、カフェや雑貨店など倉庫や工場をリノベーションしたおしゃれな店が相次いで出店。近くに川が流れるなどニューヨーク・ブルックリンの雰囲気に似ていることから、「東京のブルックリン」と呼ばれている。
 高品質の豆を自ら焙煎し、一杯ずつハンドドリップでいれるコーヒー店も多く、蔵前だけで約二十店ほどの店が集まっている。
 「コーヒーかすや豆を捨てたくなかった」
 一四年に蔵前で開店した白羽さんの悩みの種は、毎日大量に出るコーヒーごみだった。
 抽出かすは、保湿力が高いため、かびが生えやすく再利用が難しい。可燃ごみとして処理するしかない。白羽さんは、抽出かすを再利用してせっけんをつくろうとしたが、かびが生えうまくいかなかった。

回収されたコーヒーのかす

 昨年十一月、四国ケージ代表の井川茂樹さんと知り合い、協力を依頼。井川さんはすでに、コーヒーかすと鶏ふんを使った肥料「コーヒーってすごいね」を開発し発売していた。
 「+Coffee」は、手が汚れないペレット状。試作では通常の鶏ふん肥料より90%以上の臭いをカットでき、家庭でのガーデニング、企業の屋上緑化に活用してもらう。
 プロジェクトは、リサイクルだけでなく障害者の仕事づくりにも力を入れる。回収を福祉作業所に頼んだのもそのためだ。

コーヒーごみと鶏ふんを混ぜてつくった肥料「+Coffee」(「+Coffee」プロジェクト提供)

 店でも開業以来、障害者の就労訓練を受け入れ、福祉作業所で生産した焼き菓子などを販売している。
 第三福祉作業所管理者の浜本純寿さん(39)は「利用者が地域に出て行くことで接点ができ、理解が深まる」と歓迎する。
 来年一月、縁の木でのテスト販売を経て、同四月から本格的に販売する予定。
 白羽さんは家庭からの抽出かすも回収できるよう、地元の小学校にも協力を依頼している。
 「食と地域の循環モデルとして定着させたい。他の地域でも広がってほしい」
 プロジェクトの問い合わせは、縁の木=電子メールinfo@en-no-ki.com
 文・砂上麻子/写真・安江実
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

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