茨城の歓楽街、土浦市桜町 「つぶれるだけだ」相次ぐクラスター、新型コロナで50店舗が自主休業

2020年11月27日 20時17分
<コロナと生きる@いばらき>
 茨城県内最大とされる歓楽街の土浦市桜町が新型コロナウイルス禍に苦しんでいる。十一月上旬から、女性が接客する店などで感染者が相次いで見つかり、クラスター(感染者集団)も発生。感染拡大を警戒して休業する店が増える一方、売り上げの減少を穴埋めするため営業を続ける店もある。震源地の桜町一、二丁目を歩き、周辺で市民の声を聞いた。 (林容史)

◆苦しい営業自粛

 日が落ちると、シャッターを下ろしているキャバクラやパブが並ぶエリアは暗闇に沈み、人通りはほとんどない。
 地区内のキャバクラ店など三十六店が加盟する「桜町飲食業振興協議会」が十七日、市役所で会見を開き、三十日まで営業を自粛すると宣言。桜町一、二丁目には、キャバクラのほか、ソープランドなど二百四十ほどの店があるとされ、同調する店も含め、五十店以上が臨時休業したという。
 キャバクラ店の男性店長(30)は新築途中の二号店を見上げ、「つぶれるだけだよ」と吐き捨てた。コロナ禍で開店は延期になり、協議会の呼び掛けに応じ、一号店も休んでいる。
 しかし、休業中も従業員の女性には給料を支払わなければならない。「今、辞められたら、店を再開できない」。十二月一日の自粛明けに巻き返しを期すが、感染の危険がなくなるわけではない。

営業自粛を客に知らせるキャバクラ店の張り紙=土浦市で

◆「ここまで駄目になるとは…」

 県によると、二十六日朝時点で桜町一、二丁目の感染者は六十六人、四店でクラスターが発生した。地区内での集中検査の人数は、九百人超に達した。
 協議会副会長の茂木加津雪さん(39)は会見で「(感染防止に)自信もあったが、ここまで駄目になるとは思わなかった。対岸の火事としか思っていなかった」と声を落とした。今後、フェースガードを着けて営業することも考えるという。

◆客足が減り、ひときわ輝くソープランド街のネオン

 一方で、営業を続ける店もある。
 桜町一丁目の居酒屋の男性従業員(48)は「ゴーストタウンみたいでしょう」と自嘲気味に話す。コロナの影響で四月から半年間、店を閉めた後、最近再開したばかり。「さあ、これから」というタイミングで再びコロナ禍に見舞われた。
 従業員全員がPCR検査を受け、常連客の大学付属病院の医師から感染防止のアドバイスを受けて開店に踏み切ったが、客は日に一〜四組ほど。給料は半分以下に減った。「感染は怖いと言えば怖いかな」と、客を迎える微妙な立場も見せた。
 桜町二丁目の一角を占めるソープランド街は、ネオンがひときわ輝いている。
 通行人に声を掛けていた店の責任者(29)は「客足は新型コロナ前の半分以下になっている。経営上、営業は続けていく。休業要請もない」と話す。

◆「アマビエちゃん」にも登録

 感染防止対策への取り組みを示し、感染者が発生した場合に利用者に通知される県独自のシステム「いばらきアマビエちゃん」に登録。店内の消毒が済んだことを示す証明書も店頭に掲げる。「突然、うちが店を閉めたら、逆に『何かあったのか』と勘繰られる」と苦笑する。
 市役所を訪れた医療関係の事務をしている女性(31)は「お母さんが桜町で働いている子が感染し、休校になった小学校もある。子どもが感染するのが一番心配。気を引き締めないと」と不安を口にした。
 JR土浦駅前を歩いて帰宅途中の主婦(61)は最近、市内に引っ越してきた。土浦は飲食店がたくさんあるイメージで、感染拡大は「なるべくしてなった」印象だ。ただ「検査すれば、誰でも陽性になる可能性がある。桜町だけの話ではない」と言い、「感染しないよう、自分でできることを続ける」という。
◇土浦市内のクラスター
「パブHEAT」(桜町1)
「パブHEAT II」(桜町1)
「LotuS」(桜町2)
「パブ シャイン」(桜町1)
「ヴェルニ」(神立中央2)
市役所(大和町)
障害福祉サービス事業所(所在地非公表)
事業所(所在地と業種非公表)
※県の11月発表分以降
<土浦市桜町> 土浦市に隣接する阿見町で、1922(大正11)年に霞ケ浦海軍航空隊ができ、海軍住宅が建設されるなど、土浦は軍都として急速に発展した。これに合わせて湿地を埋め立てて新市街を造成、26年には散在していた料理店や飲食店などの集団移転があり、現在の桜町一帯に繁華街が生まれた。女性が接客する「カフェー」なども開店し、時代に合わせて業態を変えながら現在に至っている。

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