国立劇場「12月歌舞伎」 「三人吉三」時蔵「明るい舞台に」 「河内山」白鸚「憂さ晴らしを」

2020年11月27日 08時00分
 東京・国立劇場の十二月歌舞伎公演(三〜二十六日)で、江戸末期から明治期の歌舞伎作者、河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)(一八一六〜九三年)の二つの名作「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)−河内山(こうちやま)−」や、舞踊作品が上演される。コロナ禍で厳しい状況が続く二〇二〇年の締めくくり、ベテランから若手まで豪華な顔触れが、希望や祈りを込めて舞台に立つ。 (山岸利行)

「三人吉三巴白浪」に出演する(左から)尾上松緑、中村時蔵、中村芝翫=いずれも東京都千代田区で

 第一部(午前十一時開演)は、盗賊が主人公の“白浪物”の名作「三人吉三−」。お嬢吉三(中村時蔵)、和尚吉三(中村芝翫(しかん))、お坊吉三(尾上松緑(しょうろく))の、吉三を名乗る三人を中心に、因果が絡み合うストーリーが展開する。お嬢の「月も朧(おぼろ)に白魚の…こいつぁ春から、縁起がいいわえ」というせりふが有名。
 「久しぶりの『三人吉三』」という時蔵は「気心知れた三人で明るく楽しい舞台にしたい」、「ストーリーがよくできている」と話す芝翫は「生活感や人間の情などをお客さまにお届けできたら」、松緑は「戯曲として練られたもの。喜んでいただける舞台をつとめたい」と、それぞれ抱負を語った。

「天衣紛上野初花−河内山−」に出演する松本白鸚(右)、「雪の石橋」に出演する市川染五郎

 第二部(午後三時半開演)は「河内山」。権威に立ち向かって胸のすくような啖呵(たんか)を切る河内山宗俊(松本白鸚)の名せりふが魅力。
 白鸚は河内山について「ヒーロー(的な側面)、愛嬌(あいきょう)の両方を併せ持っている人」ととらえ、「この時期にぴったりの芝居。(コロナなどで)いやなことが数々ありますが、啖呵を楽しんで、いっとき憂さを晴らしていただけたら」と話した。
 コロナ禍で公演から遠ざかり、十月に八カ月ぶりに舞台に立ったが、「(客席など)様変わりしましたが、自分の中では何も変わらない」と健在。自粛期間中は「もうできないのでは」とも考えたというが、「やってみると変わらない」といい、「役者は、苦しみを勇気に、悲しみを希望に変えないと駄目」と語った。さらに「どんな歌舞伎でも品がないと駄目と思うようになった」とも。
 今月死去した、人間国宝の名優、坂田藤十郎さんについては「最後まで若々しかった。『扇雀』の名が一番印象的で、ご恩を感じています。思い出は尽きません」と悼んだ。
 白鸚の孫、市川染五郎は第二部の舞踊「雪の石橋(しゃっきょう)」で獅子の精を演じる。二十六年前に父、松本幸四郎もつとめた役で、「その時の映像を見て、かっこいい作品だと思った。小さい頃から『獅子もの』に憧れていたので、とにかくうれしい」と笑顔を見せた。
 十二月歌舞伎公演は、ほかに第二部で舞踊「鶴亀」(中村福助、中村福之助、中村歌之助)。十五日は休演。
 国立劇場チケットセンター=(電)0570・07・9900。

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