隠れた犯罪を見つけ出す最大の武器は職務質問 警視庁のプロ集団「自ら隊」が発足70年

2020年11月27日 11時55分
 東京都内の繁華街や住宅街をパトカーで巡回し、強盗や薬物事件などの容疑者の挙動に目を光らせる警察官たちがいる。警視庁地域部の自動車警ら部隊(通称・自ら隊)。隠れた犯罪を見つけ出す職務質問のプロ集団だ。1950年の発足から今年で70周年を迎えた自ら隊の活動に迫った。(奥村圭吾)

発足70年式典で部隊巡閲する後藤友二地域部長(手前右)ら

 9月9日未明。足立区内のコンビニエンスストア駐車場に止まった1台の黒い車。自ら隊の男性隊員2人が近づくと、車は急発進した。隊員はすぐにパトカーのマイクで停止を求めた。
 男3人が乗った車内からは偽造身分証や粘着テープ、ガスバーナーが見つかった。「何に使うためか」。隊員らが問い詰めると、観念した男らが「強盗のため」と認めたため、強盗予備容疑で3人を逮捕した。このうち2人は、町田市内で4日前に起きた電気点検業者を装った強盗傷害事件への関与も明らかになった。
 昨年1月1日に原宿・竹下通りで8人が重軽傷を負った車の暴走事件では、自ら隊員らが逃走した車を周囲の駐車場で見つけ、解決に貢献している。
 自ら隊は主にパトカーを使った警ら(パトロール)の部隊。都内では地域別に5つの関連部隊があり、約380人が所属する。
 警視庁などによると、戦後の混乱期にあった49年、連合国軍最高司令官総司令部の助言を受け、「移動警察」として浅草署管内で試験運用したのが始まり。犯罪摘発に実績を上げ、50年に正式発足した。

1950年、自ら隊が発足した当時の職務質問の様子=警視庁提供で

 都内で昨年、自ら隊が摘発した事件は2788件(速報値)。違法薬物事件が855件と最多で、強盗などの凶悪事件も30件あった。
 隊員らはパトカーを見て目をそらしたり、車を蛇行、急発進させたりする運転手のわずかな動きを注視する。車の傷やナンバープレートを固定する「封印」の有無にも目を配り、盗難車かどうかを見破る。
 犯罪を見つけ出す最大の武器は、警察用語で職務質問を指す「バンかけ」。語源は諸説あり、「不審者に夜『こんばんは』と声をかけるから」とも言われる。
 職務質問は警察官職務執行法に基づくが、応じるかどうかは任意。警視庁幹部は「暴かれたくない犯人側とのぎりぎりの攻防。隊員は的確な質問で不審点を掘り下げる力を鍛錬している」と話す。
 昨年、全国で大麻関連事件の摘発者数が過去最高となるなど、違法薬物のまん延が懸念されている。ニセ電話詐欺事件で、現金の受け取りや引き出しのため街頭に現れる「受け子」や「出し子」に対応する必要性も高まっている。
 犯罪が時代に合わせて変化する中、今月18日、立川市内で開かれた発足70周年式典で、後藤友二地域部長は「歴史と伝統を正しく受け継ぎ、悪に立ち向かうプロフェッショナル集団として積極果敢な活動を展開してほしい」と隊員に呼び掛けた。

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