<壁を破る ◎千葉発>コミュニティーFM 防災に強く 開局目指す 物流会社営む久保田耕司さん

2020年5月5日 02時00分

オフィスの一部を改装しできたスタジオでマイクテストをする社員

 千葉市中央区で物流会社を営む久保田耕司さん(52)が、災害に関する身近な防災情報を地域の人に届けるコミュニティーFMの開局を目指している。新型コロナウイルスの影響で開局が遅れる見込みだが、「南海トラフ巨大地震など災害時に、一人でも多くの命を救えるような防災に強いラジオ局を目指す」と前を見据える。
 コミュニティーFMの名称は、「SKY WAVE FM」。会社のオフィスの一部を改装し、スタジオを設けた。千葉市は全国の政令指定都市で唯一、コミュニティーFM局がない状態だった。今後、千葉市と防災協定を結ぶ予定。市防災対策課の担当者は「防災無線では聞こえないという市民の声があった。ぜひこうしたラジオを活用してほしい」と話す。
 久保田さんは大学卒業後、証券会社や物流会社での勤務を経て、二〇〇三年に会社を起業。その後、仕事で東京都のコミュニティーFM「レインボータウンFM」の小嶋映治社長と出会い、ラジオ番組の制作に携わるようになった。一五年から約三年半、声優などを起用したラジオ番組「FAN×FUN」も制作した。
 「ラジオと携わっていくうちに、防災に特化したラジオ局がないと思った。ないなら、作ろうかなと」。きっかけは東日本大震災。当時、自社が入るビルにいたが、「ビルが折れ曲がると思った」と振り返る。「次は南海トラフがある。千葉市は多くの被害を受けるという推定が出ており、防災状況をいち早く伝えるラジオ局が必要だと思った」
 伝え方も工夫する。元AKB48の小原春香さんやSDN48の福田朱子さんなどのアイドルや声優を迎え、ラオックス千葉ポートタウン店(同市中央区)の二階の一画で、収録の様子を見られる「サテライト放送」を実施し、防災情報が入ればその場で発信する予定。「まずは多くの人に見てもらい、聞いてもらう機会を増やす。伝えるためには、まず聞いてもらわないと」と狙いを話す。
 防災情報などの収集で、県内のタクシー会社と連携する構想もある。タクシー運転手が地域の事故情報や被災状況をタクシー会社の無線局に伝え、その情報をラジオ局に流してもらう。「これが実現すれば、行政や警察よりも早く、災害時の状況などを多くの人に伝えられる」。今後、県内のタクシー会社に協力を求めていくという。
 七月の開局予定だったが、新型コロナウイルスの影響で試験放送ができる予備免許の取得ができず、開局も延期。秋までの開局を目指すが、見通しは立っていない。それでも、久保田さんは前を向く。「これを聞けば安心だね、と言えるようなラジオを作り、十七年間、会社を続けさせてくれた千葉に恩返ししたい。そのための準備を着々と進めるだけです」(丸山将吾)
<コミュニティーFM> 市区町村単位で放送される、最大出力20WのFMラジオ局。放送法施行規則に「市町村の一部の区域の需要に応えるための放送」と定義され、地域に密着した情報発信を目指す。近年、設立基準の規制緩和が進み、法人や組合などの団体でも開局できる。総務省によると、2020年2月末現在、全国で332局が放送を行っている。

「いち早く防災情報を伝えるラジオを作りたい」と述べる久保田耕司さん=いずれも千葉市中央区で

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