尾身会長「当事者意識を持って」と一喝 コロナ急拡大でも国・自治体の不協和音に

2020年11月28日 09時32分
 新型コロナウイルスの感染が止まらない。専門家は政府や自治体へ対策を強く促している。情勢の切迫は自治体も認識している。東京都などは飲食店の時短営業要請に踏み切り、景気対策の起爆剤とする「Go To イート」食事券の新規販売も一時停止する。だが、国や自治体の間で足並みに乱れもあり、感染拡大を収めるための対策は後手に回っている。(土屋晴康)

◆全国的に重症者が急増

 大阪府は、政府の対策分科会が示す6指標のうち5つで「ステージ4(爆発的感染拡大)」の基準を超えた。残る最大確保病床の使用率は46.7%で、基準値の50%が目前に迫る。26日時点で、重症者は108人いる。
 「数字だけ見れば、ステージ4に近づいている」
 27日、大阪府の吉村洋文知事はそう話し、府民に感染対策の徹底を呼び掛けた。「ステージ4」は西村康稔・経済再生担当相が「緊急事態宣言が視野に入る」と指摘した危機的な段階に当たる。
 各地で危機は迫っている。26日時点で、全国の重症者は435人。10日(204人)以降、増え続けており、この2週間で2倍以上に急増した。

◆営業時間、GoTo、各都道府県が続々と見直し

 北海道はいち早く7日、札幌・ススキノ地区の酒類を提供する飲食店に対し、午後10時以降の営業自粛を要請した。大阪府も27日から大阪市の一部地域で、飲食店の時短営業を要請。東京都は28日から都内で、愛知県は29日から名古屋市の一部地域で時短営業を要請する。
 政府の目玉施策「Go To」事業のうち、「イート」食事券の新規販売を一時停止する動きも。神奈川県は25日から停止し、北海道、茨城、埼玉、千葉、東京、静岡、愛知、大阪、兵庫を含めると10都道府県が停止を決めた。

◆国と都、県と市間で足並みそろわず

 政府も27日、「Go To トラベル」で札幌市、大阪市到着分の休止に加え、出発分についても運用を見直す方針を決めた。その「トラベル」の一時休止を巡っては、政府と東京都の間で足並みがそろわない。

衆院厚生労働委で答弁する政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=27日、国会で

 加藤勝信官房長官は27日、「どちらがどうという議論自体があまり建設的ではない。大事なのは都道府県、市町村、政府が一体で効果的な対応に取り組むことだ」と話したが、小池百合子知事は同日、「最初から国が決めるという設計ではなかったのか」とあらためて政府に判断を委ねた。
 自治体間でも揺れる。愛知県が名古屋市の飲食店に時短営業を求める一方で、名古屋市は独自の観光客向けクーポンの発行を継続する方針を示した。
 感染急拡大を抑えるため、残されている時間はあまりない。政府の分科会の尾身茂会長は27日の衆院厚生労働委員会で「コロナではない一般の医療との両立が難しくなっている。(政府や自治体、国民が)当事者意識を持って危機感を共有することが極めて重要だ」と呼び掛けた。

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