スキー場どうする? コロナ懸念で揺れるEU、対立の恐れも

2020年11月28日 21時34分

スイス・ツェルマットで3月、スキー場のゴンドラと背後にそびえるマッターホルン=AP

 【パリ=谷悠己】冬休みが近づく中、スキー場の営業を規制すべきかで欧州各国が揺れている。新型コロナウイルスの感染拡大の原因となる懸念から、国同士が連携して規制する動きがある一方で営業を認める国もあり、欧州連合(EU)内の対立につながる恐れも出ている。

◆「リフトより地下鉄止めて」

 「スキー業界を挙げて政府に方針変更を求める」。アルプス山脈に近いフランス南東部アルプ・デュエズ観光協会幹部のフランソワさんが電話取材に、怒りをあらわにした。
 仏政府は1月中旬まで「スキー場の営業は可、リフト稼働は不可」との規制策を発表。冬休み中に毎年2万人超いたスキー客を失う恐れから、フランソワさんは「リフトより地下鉄を止めた方がよほど感染対策になる」と批判するが、カステックス首相は26日の会見で「スキー場が感染源となって医療現場にこれ以上負担をかけることは許されない」と理解を求めた。
 白銀の世界を巡る議論に火を付けたのはイタリアのコンテ首相だった。23日のテレビ番組で国を超えた規制の必要性に言及すると、元スター選手トンバ氏らスキー関係者から猛批判を浴びたが、ドイツのメルケル首相が呼応。26日の連邦議会で、国際的なスキーリゾートを抱えるアルプス諸国は連携して営業を規制すべきだと訴えた。

◆3月、オーストリアで集団感染

 独仏伊が観光業界やスキー愛好家の批判覚悟で規制に動く背景には、3月にオーストリアのスキーリゾートで発生した集団感染が他国へ飛び火した苦い経験がある。だが、そのオーストリアは観光再生への期待からドイツの提案に抵抗感を示し、同じアルプス諸国でEU非加盟のスイスも営業を認める方針だ。
 EUはスキー場についての統一見解は出さない方針で、伊紙コリエレ・デラ・セラは「難民受け入れ施策やコロナ復興基金に続いて新たなEU内対立の火種になり得る」と報じた。

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