イラン、報復は慎重に判断か 新政権アメリカとの関係にらむ 核科学者銃殺

2020年11月29日 09時40分
27日、テヘラン東方で、ファルス通信が報じたイランの核科学者ファクリザデ氏の暗殺現場=AP

27日、テヘラン東方で、ファルス通信が報じたイランの核科学者ファクリザデ氏の暗殺現場=AP

  • 27日、テヘラン東方で、ファルス通信が報じたイランの核科学者ファクリザデ氏の暗殺現場=AP
 【カイロ=蜘手美鶴】イランの首都テヘラン近郊で核科学者が殺害されたテロ事件で、イランはイスラエルへの報復を明言した。だが、イスラエルが後ろ盾とする米国の存在を考えると、時期などを巡り難しい判断を迫られる。トランプ政権下で関係が悪化し、経済制裁に苦しむ中、バイデン新政権との間で進めたい関係改善が遠のく恐れがあるからだ。
 殺害されたモフセン・ファクリザデ氏は、20年以上にわたって核開発や弾道ミサイル開発に深く関わり、イラン革命防衛隊の高官でもあった。同氏は核開発分野の「最重要人物」(専門家)とされる一方、公にほぼ姿を見せず、厳重な警備下で生活し、今回の襲撃時もボディーガードが同行していた。イランの反政府団体などによると、パスポートを3冊持ち、最新の核関連情報収集のため世界を飛び回っていたという。
 イスラエルや米国も以前から同氏に注目しており、イスラエルのネタニヤフ首相は2018年、イランの核兵器開発疑惑について述べた際、同氏の名前を挙げて「この名を覚えておくべきだ」と言及している。
 イランは「イスラエルの関与」を断言した上で報復を明言するが、直接攻撃に出る可能性は低いとみられる。イランはトランプ政権が離脱した核合意への米国復帰で経済制裁の解除を狙う。カイロ・アメリカン大のラーエド・ガッザーウィ教授(政治学)は「イランは米国の経済制裁にあえいでおり、バイデン新政権への交代を目前に控え、直接攻撃に踏み切れば米国の核合意復帰は絶望的になる。その過ちは犯さないだろう」と話す。
 ロウハニ師は「シオニスト政権(イスラエル)のわなにはまることはない」とも述べており、挑発には乗らない姿勢も示す。ただ、直接攻撃に踏み切らないまでも、イランが支援するイスラム主義組織ヒズボラや他の民兵組織などの代理勢力を使った間接的な攻撃の可能性は残る。

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧