エチオピアの紛争 政府軍が北部州都の制圧完了 戦闘長期化か

2020年11月30日 05時50分

28日、エチオピア・ティグレ州から隣国スーダン東部の難民キャンプに逃れたティグレ人の女性や子どもら=AP



【カイロ=蜘手美鶴】エチオピア連邦政府軍と北部ティグレ州政府を率いるティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争で、アビー首相は28日夜、政府軍が州都メケレを制圧したと発表した。ロイター通信などが伝えた。
 アビー氏はツイッターで「ティグレ州での軍事作戦が完了し、メケレを支配下に置いた」と述べ、今後は連邦警察がTPLF側の「犯罪者」を拘束し、法廷で裁くとした。政府軍も声明で「空港や公共機関などを制圧した」と述べた。
 一方、TPLF側はロイター通信に「最後まで侵略者と戦う」と話し、降伏を否定した。
 政府軍は28日昼すぎからメケレへ砲撃を加え、民間人への被害が危ぶまれていた。メケレには約50万人が住むが、インターネットや電話回線が遮断されており、被害状況は不明。政府軍は「住宅地は攻撃していない」としている。
 政府軍とTPLFは今月初旬から軍事衝突し、政府軍はメケレを包囲して投降を促したが、TPLF側は拒否。紛争により隣国スーダンに約5万人が避難し、数千人が死亡している。
 アビー氏は2019年、隣国エリトリアとの国境紛争を解決したとしてノーベル平和賞を受賞している。

◆紛争の背景に部族の権力闘争 戦闘長期化との見方も

 今回の紛争の裏には、少数民族ティグレ人勢力と、アビー氏ら最大民族オロモ人勢力の権力争いがある。アビー氏就任の2018年までは、ティグレ人らが約30年にわたり長期政権を敷き、オロモ人など反発する勢力を政治犯として拘束。政権交代後は、逆にティグレ人元政府幹部らが汚職で捕まり、ティグレ人が反発していた。長く政権の座にいたティグレ人は現在も強い影響力を持ち、連邦政府と対立を続けている。
 今回の衝突の発端は、8月に実施予定だった総選挙。ティグレ人は政権奪取を狙っていたが、アビー氏が新型コロナウイルス対策を理由に延期を決定。反発したティグレ人が、ティグレ州内で選挙を強行し、軍事衝突へと発展した。
 スーダンの政治評論家ヨーセフ・ガラル氏は「アビー氏は今回の衝突を機に、ティグレの影響力の徹底排除を狙っている。ティグレ側も政権奪還の野心は捨てておらず、戦闘は長期化するのではないか」と話す。
 衝突が始まって以降、戦闘で数千人が死亡し、隣国スーダンには約5万人が避難した。現在も難民は増え続けているという。
 また、TPLFが隣国エリトリアの空港を攻撃したことで、エリトリア民兵がティグレ側に報復攻撃を始めたとの情報もあり、周辺国に混乱が広がっている。

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