「未来少年コナン」に沸く 42年前の作品 宮崎駿の原点 NHKが再放送

2020年5月23日 02時00分

「未来少年コナン」のイメージ画像(C)NIPPONANIMATIONCO.,LTD.

 NHK総合で再放送中のアニメ「未来少年コナン」(日曜深夜0時10分)が脚光を浴びている。1978年に放送されたSF作品を手掛けたのは宮崎駿監督。その後、国民的人気作品を続々送り出した巨匠の“原点”を味わえるとあって、アニメ通や宮崎作品ファンの心をとらえている。新型コロナウイルス禍で新作アニメの制作が止まったための苦肉の策だが、思いがけない“お宝再発見”となっている。 (原田晋也)
 「人気の高い作品とは承知していたが、ここまで大きな反響があるとは」。NHKの番組担当者は驚きを隠さない。四月にNHKのアニメ公式ツイッターが再放送を告知すると、異例の三・四万の「いいね」が集まった。今月三日に放送が始まると、毎回ツイッター上での注目度を示す「トレンド」に、コナンに関連した投稿が上位に入る。
 スタジオジブリで多くの名作を手掛けた宮崎駿の初監督作品のコナンは、最終戦争後の荒廃した世界が舞台。小さな島に暮らす少年コナンが主人公。流れ着いた少女ラナがさらわれ、コナンが助けるために旅に出る物語だ。民放での放送歴もあったが、編集も施されていた。今回は全二十六回をより完全に近い形で放送する。
 アニメ評論家の藤津亮太は「第一作に作家の全てがあるといわれている通り、コナンにも『ボーイ・ミーツ・ガール』『自然と文明』『戦争と個人』など、後にジブリ映画などで展開されるテーマが込められており、その普遍性ゆえに、今見ても色あせることのない作品。重さやスピード感など、細部の描写も非常に魅力的」と秀作といわれるゆえんを解説する。
 放送当時も画期的な作品として知られたという。宮崎作品に詳しい映像研究家の叶精二は「あのころ、毎回似た展開を繰り返すことで安く早く作れる作品が多かった中、独創的なアイデアを積み重ね、作画から演出まで壮絶な手間暇をかけて縦横無尽に動き回るアニメーションを創作していた」と高く評価する。
 多くの人に影響を与えた作品でもある。アニメーション制作会社「ササユリ」(東京)の舘野仁美代表は高校時代に見て衝撃を受け、アニメーターを志望。のちにスタジオジブリに二十七年間在籍し、「となりのトトロ」など多くの名作に携わった。「コナンの勢いのある動きや、突き抜けるように無垢(むく)な主人公像が何より新しかった。アニメーターの憧れの作品で、多くの人の運命を変えた。今見ても『かなわないな』と思う表現がある」と笑う。
 七八年当時には生まれていない世代も引きつけている。ヒットアニメ「映像研には手を出すな!」の原作者で漫画家の大童澄瞳(おおわらすみと)(27)は、放送に合わせツイッターで見どころを語る「実況」をして視聴を呼び掛けるなど、コナンへの思い入れを見せる。
 小学生のころ、母親の勧めで見て「とにかく面白い」と魅了され、何度も見返したという。「一話ごとの構成がとても巧みだし、場面が目まぐるしく変わってワンカットも飽きさせない。古さを感じない。四十二年前の作品というと身構えるかもしれないので、初めて見る時は純粋に楽しんで見るのがいい」と語った。
 NHKの担当者は「コナンは大人も楽しめ、感動できる日本アニメの原点ともいえる。今後も視聴者の声に耳を傾け、エバーグリーン(不朽)のコンテンツもお届けできれば」と話す。

「未来少年コナン」第4話から (C)NIPPONANIMATIONCO.,LTD.

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